「急拠、出張することになった」←この文の誤りを正してください

熟練校閲者からの挑戦状・前編
講談社校閲部

◆ 答えと解説 ◆
【問題A】

前半は単純な誤記が並んでいますが、あえて分類すれば、1~3は読み(音訓)が同じでも別の字を書くものです。4と5は同音異義語、6と7は成句(慣用句や故事成語など)関連のものとなります。

1 急拠、出張することになった
=急遽

2 最少限の対策は施したつもりだ
=最小限

3 四の字固めが決まって、相手はギブアップした
=4の字固め どんなヨガの達人がやっても脚の形は「の字」になりません。

4 世論調査で首相を指示しない理由を問うた
=支持

5 個別訪問をして客をつかめ
=戸別 「訪問」は合っています。「訪門」と書き間違えるのは手書き特有の例といえます。

6 毒を盛って毒を制す
=毒を以て毒を制す

7 援助を頼みたいのだが取りつく暇がない
=取りつく島がない

字形類似はしぶとく生き残る 

すこし易しかったでしょうか? 問題はまだ続きますが、ここで一息。

『実例集』では各章の最後に、4人の校閲部員による座談会を置いています。

その中で、誤字誤植の主流は「字形類似」から「変換ミス」へとシフトしている、と語られていますが、このところOCR(光学式文字読み取り)が昔の書籍を電子化する時などに活用されることが増え、再び「字形類似」に煩わされることも多くなった気がしています。

OCRの精度は現在非常に高くなっていますが、まだ完全というわけではありません。

最近目にしたものでは、「貪欲」が「欲」に、「推定」が「推」に、「日本車」が「日本」になっていました。「拇印」が「印」になっていたものなどは危うく見落とすところでした。

というわけでこの字形類似、まだまだしぶとく生き残るでしょう。

すこしだけ上級編にチャレンジ

ここからは、すこしだけ上級編となります。

【問題B】誤りを正してください。
8 脊推動物誕生までの講議をする
9 二人は斯界の権威として双壁をなす

答えは……校閲フロアの画像の後に。

校閲部には、多くの辞書・事典が並ぶ。それらに誤字の指摘が入れられていることも…

◆ 答えと解説 ◆

【問題B】

8 脊推動物誕生までの講議をする

脊椎動物講義 
二語に誤字を忍ばせました。「脊」と「背」も間違えやすいものです。

9 二人は斯界の権威として双壁をなす

双璧
「璧」については、『実例集』の完璧の項で説明しています。

以前ほどの身入り?

では、いよいよ最後の3問です。

【問題C】誤りを正してください。
10 書籍や衣類は耐久消費材に含めない
11 今に至ってもまだ黙否を続けている
12 この商売、以前ほどの身入りは期待できない