
プラスチックごみはほとんどが陸で生まれて海に入るのだが、マイクロプラスチックはすでに、陸に近い沿岸域だけでなく、世界の海に広がっている。
九州大学応用力学研究所の磯辺篤彦(あつひこ)教授らの研究グループは、2016年に南極海でマイクロプラスチックの調査を行った。
その結果、南極海でも1平方キロメートルあたり10万個のマイクロプラスチックが海中をただよっていると推定された。
磯辺さんらが日本近海で行った調査によると、1平方キロメートルあたり172万個だったので、それに比べればはるかに少ないが、北半球に比べて陸地も人口も少ない南半球の、しかも南極海でこれだけの量が見つかったということは、すでに世界中の海にマイクロプラスチックが広がっている可能性を示している。

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世界の海にマイクロプラスチックはどのように分布しているのか。海流に乗って「吹き溜まり」のように集まってしまう海域があるのか。それを知るために広い海の全域で詳細な調査を行うことは、実際には不可能だ。
このような場合に有効なのが、コンピューターによるシミュレーションだ。磯辺さんらは、実際に観測された海流や風の起こす波によってマイクロプラスチックが運ばれる様子を計算した。
2000年の初めに太平洋にマイクロプラスチックが広く一様に分布していたと仮定して計算したところ、3年ほどで北太平洋、南太平洋の中緯度に集まってきた。東西にベルト状に広がるマイクロプラスチックの「ごみベルト」だ。

北太平洋の中央に位置するハワイの北東側には、海流の関係で漂流ごみが集まりやすい海域があると、従来から指摘されていた。海流に風の波を加えた磯辺さんの新たな計算でも、それが裏付けられた形だ。