Photo by iStock

「理想の家」を建てるために「あと100万円あればできること」

建築家と考える家づくりの「夢と現実」
潤沢な予算はない、それでも「理想の家」を建てたい……。わがまますぎる夢だろうか? いや、そんなことはない。「予算」さえしっかりコントロールできれば、その人なりの「理想の家」は建てられるのだ。ここには予算をかけて、ここには予算をかけない。そんなプロだからこその工夫を、『家を建てたくなったら』の著者で、一級建築士の丹羽修氏が語った。

注文住宅の値段はどれくらいか?

国土交通省の調べによると、注文住宅の購入資金は平均4017万円となっています。そのうち自己資本率の占める割合は34.0パーセントで1367万円。みなさん、けっこう堅実だと思います。

Photo by iStock

ちなみにローンの年間返済額は113.1万円で、年収に占める返済負担率は20.5パーセントとなっています(「平成25年度住宅市場動向調査」より)。

ただ、4017万円という数字は土地も含めた額なので、地域によっても開きがあるでしょう。土地代はその地域の相場で考えるとして、建物にはいったいどのくらいの予算が必要でしょうか。

たとえば延床面積が30坪、木造2階建てで床は無垢の木、壁は漆喰を使い自然素材を用いた家を建てるには、ざっくりいって、2400万~3000万円くらいが相場だと思います。

600万円とはずいぶん開きがあると感じたかもしれません。プラスαの設備がたくさん入っていたり、工事の難易度が高かったり、庭が広く外構工事が多かったり(外構でかなり変わります!)すると、このぐらいの差になります。

なぜか「木造住宅は、坪単価60万円くらい」と思っている方が多いのですが、ここ数年だけ見ても原材料の高騰、人手(職人)不足による人件費のアップなどで、建設費が1割ほどアップしています。

 

値段は家の形状によって、大きく変わります。同じ2階建てでも、1階も2階も同じ大きさでドンと建っている「総2階」と呼ばれる家と、ほとんど平屋で2階が少し乗っているという家とでは、ずいぶん金額が違ってくるのです。どんな屋根や外壁にするかによって幅は異なりますが、前者よりも後者のほうが確実に高くなります。

家というのは、基本的に外周面積が広くなればなるほどお金がかかります。お金がかかる場所というのは、基礎や屋根、外壁などの主要構造部です。外周面積が広くなると、それだけ主要構造部の比率が高くなるので、費用も上がるのです。

一方、総2階だと屋根や外壁部分が減り、外周面積が狭くなるので、費用がおさえられます。よく本などには「安く建てるために、できるだけ凸凹をなくして総2階にしましょう」と書いてあります。たしかにそれはコストダウンのひとつの方法でしょう。

ただ、私としては総2階を推奨しているわけではありません。軒の深い屋根や採光や風通しのための庇など、心地よく暮らせる家のほうがいいからです。総2階建ての家の場合、2階には屋根がつくけれど、1階部分に大きな庇をつけることは難しいのです。

建て主さんからよく提示される建物の予算額はいくらぐらいだと思いますか?

答えは2000万円です。延床面積などの条件が違うので一概にはいえませんが、得てして相場よりも低い金額であることが多いのです。いまは建築資材や人件費が上がっている傾向にあるので、率直にいって2000万円というのはなかなか厳しい数字です。しかし、そこをなるべく予算内に収めるよう、奮闘するのが私の役目でもあります。