「パワハラ教授」に甘すぎる処分を下した山形大学の不可解

減給処分、それもたったこれだけって…
田中 圭太郎 プロフィール

訳が分からない

大学が教授のパワハラを黙殺しようとしていた形跡は、調査の際にも見られた。調査委員会がAさんに事情聴取をする前に、大学はAさんに次のような誓約書に署名させようとしていたのだ。

 私は、キャンパス・ハラスメント防止委員会において設置された特別対策委員会の聞き取りを受けたこと及び聞き取りにより知り得た情報を他に一切漏らさないことを制約します。
山形大学長殿

これは「大学で起こったことを、一切漏らさないこと」を、強制するものではないだろうか。これではAさんは聴取の際のやりとりで起きたことを、弁護士や支援者にも相談できず、1人で対応しなければならなくなる。パワハラの被害者にこのような誓約書を書かせること自体、大学側に悪意があるととられても仕方がない。

結局Aさんはこれに署名せず、「関係者の名誉やプライバシー侵害をしないことを誓約する」という文言の誓約書を提出した。

その結果、調査は正常に行われ、調査委員会は教授のパワハラを認定した。しかし、冒頭で触れたように、大学はパワハラをハラスメントにすり替え、減給約1万円の処分を出した。パワハラ問題に対する山形大学の対応は、これで終わっている。

 

教授への軽すぎる処分は、過去の処分とも整合性を欠いている。山形大学は2013年に、女子学生にセクハラをした男性教授に対して、停職3か月の懲戒処分を出したことがある。この時も、先述の規定(イ)が適用されたが、停職処分が出ている。

今回の処分が発表されたあと、職員組合は大学に対して、恣意的に軽い処分にしたことを認めることや、Aさんに謝罪と補償を行うことなどを要求している。要求書7月24日と7月30日の2回にわたって提出したが、大学の回答は「役員会での審議内容などについては非公開となっており、ご回答いたしかねます」とゼロ回答だった。

この回答を受けて組合は再度、8月1日に声明を発表し、5項目の要求事項を大学に提出したが、大学からの回答はない。仁科執行委員長は「大学の処分自体が不正行為だ」と指摘している。

「規定を変えるわけではなく、調査委員会で認められたパワハラを、勝手に単なるハラスメントとして解釈を変えて処分をするのは不正行為です。学問とは、何が正しいかを学び、問うこと。学長をはじめとする役員会と加害者の教授は、自らの行為が大学に身を置くものとして相応しくないと認識すべきです」

組合によると、パワハラの被害者であるAさんは処分の内容を知って、「処分が軽すぎます。なぜあのような人物が大学に残れるのですか」と、加害者と大学に対して憤っているという。Aさん自身も謝罪と補償を求めているが、大学や教授からの連絡はない。

小山学長は、8月2日の会見で自身の処分について聞かれて、「今まで考えていなかった。役員と相談したい」と答えている。

当該教授にも大学にも一切の責任はないーー学長や役員らがそう考えているのであれば、山形大学は国立大学法人としての存在価値を、自ら否定していると言わざるを得ない。

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