小学校には「夏休み」がある。東京の小学校では、一般に7月25日から8月31日までが夏休みだ。7月20日から8月31日のところもあれば、7月20日または25日頃から8月の26~28日あたりのところもある。
といっても、それは「生徒」の話だ。「教師」の夏休みはどうなっているのだろうか?
今回、記事の執筆にあたり、学校の先生方に「教師の休暇・休憩・勤務時間外労働」について調査してみた。なお、東京の学校に勤める先生にだけでなく、地方の学校に勤める先生にも聞いている。
世間一般の方は、教師も子どもと同じだけ、休みがあると思われている方もいるようだ。しかし実際には、夏期休暇は5日だけ。その他に休むのであれば有給休暇(年休)を使うことになる。
教師によって、有給休暇の数は違う。一般的には、ベテランになればなるほど多くなる。前年度に使わなかった年休が残っていれば使えるからだ。産休補助などの臨時の教員や期限付きの教員は4月から9月まで8日間、10月から翌年の3月までが10日間だけ初年度にもらえる。
結局のところ、「夏休み」の期間でも、教師はほとんど出勤しなければならない。9月以降、私用でどうしても、休まなければならないときに年休がなければ使えなくなるかもしれないためだ。年休がないのに休んでしまった場合、「欠勤」となる。「欠勤」が生じると「服務事故」になることもあるらしい(教師が守るべき仕事上の義務、「服務義務」と言い、これを破ると「服務事故」として扱われ、減給などの処分を受けることになる)。
さらに問題がある。ある学校での話だが、校長がこう切り出したという。
「今、働き改革ということが言われています。学校では、8月の15日と16日を(教師の日直を置かない)閉庁日とします。この2日間は、学校に来なくてよい日とします」
何の問題もない。学校の電気代など施設費も抑えることができ、授業に必要な文房具などの費用に回せる。
ところが、「そこで、この2日間は、皆さんが持っている夏期休暇か年休を2日間、当ててください」と校長。「えーっ!?」と驚く教師たち。
自分たちの年休をちょうど、この日に当てたかった教師にとっては問題ないかもしれない。だが、他の曜日に当てたいと考えている教師だっている。そうすると、事実上、予定していた2日間の休暇は、無くなってしまう。予定していた日に年休または、夏期休暇を当てられなくなってしまうからだ。
このエピソードだけ聞くと、教育委員会が勝手に教師の年休、夏期休暇を減らしているように思えてしまう。念のため、東京以外の地域で勤めている教師、大学教授、事務員まで様々な方に聞いてみたが、誰もが驚き、異口同音に「それは、おかしいよ!」と言う。
前述したように、閉庁日が2日間できることは学校の施設費も抑えることにつながり、賛成だ。だが、どうして、自分たちの夏期休暇もしくは年休を使わなければいけないのか?