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高齢化の進行ステージ別に分けてみたら見えてきた東京の「意外な形」

あなたの町の進行度は…?

高齢化を陰で操る3つの動き

日本の高齢化について引き続き論じる前に、まずはこの表を見ていただきたい。

図表1は、総人口の増加率、年代別に7区分した人口の増加率、定住率、合計特殊出生率の各指標と、高齢化率ならびに高齢化進展度の相関係数を、東京23区と全国47都道府県をサンプルとして求めた結果だ。

このデータは、高齢化の進展に強い影響を与える3つの数値の存在を示している。総人口の増加率、定住率、そして30代人口の動向だ。

高齢化率は、東京では定住率との間に最も強い相関関係が見られるが、全国レベルでは総人口の増加率の方が高い相関係数を示す。一方、高齢化進展度を決めるカギを30代の動向が握っていることは、全国でも東京でも変わりがない。

 

付記すると、東京では50~64歳の増加率も高齢化率との相関係数が高く、「50~64歳の高齢者予備軍が減ると高齢化率が高くなる」という傾向が見られる。しかし、これは相関係数が高くても因果関係は薄いと考えるべきだ。

全国的な傾向ほどではないが、東京でも「人口が伸び悩むと高齢化率が高くなる」という関係がある。この大きな文脈の中で、高齢者予備軍の動向と高齢化率との間に見かけ上の相関関係が生じたと考えるのが妥当だろう。

また東京では、40代や10歳未満の動向も高齢化進展度との相関係数が高い。前者については、晩婚化が進んでいる東京では、子育てと密接に結びつく「まち選び」の転機が40代にまで広がっていることを、後者については、全国レベルで見ると一律に少子化が進んでいる中で、東京では区によって子どもの増減傾向の差がはっきりしており、その結果として、子どもの数と高齢化の進展の関係がより先鋭化して現れたことをうかがわせる。

地方と東京の高齢化問題は全然違う

これら3つの数値からは、高齢化が生み出される3つのタイプが浮かび上がってくる。

地方における高齢化は、若い人たちを中心に、人口が大都市や地方中心都市に流出し、お年寄りが取り残されてしまうことによって深刻化する。その典型例は過疎地と呼ばれる中山間地に見られるが、都市部でも大同小異の実態がある。このため全国規模で見ると、高齢化率は総人口の動向と強く相関することになる。

これに対して、人口が増えている東京での高齢化は、居住者が定住し、まちの新陳代謝が失われることによって生み出される。若い人という視点に立って言えば、出ていくというより、入ってこなくなるために生じる高齢化のメカニズムだと言うことができる。

3つ目は、30代の減少に象徴される世代間人口のバランス崩壊が始まり、近い将来高齢化が一気に進んでしまう危険水域に入り出した状態である。

これら3つのタイプを逆順で捉えると、次第により深刻な状況へと進んでいくという意味で、「超高齢社会を生み出す3つのステージ(段階)」と言いかえることができる。

第1ステージは、黄色信号状態。まだ高齢化率がそれほど高くなくても、世代間の人口バランスが崩れ始めたら安泰とは言えない。第2ステージは、まちの新陳代謝力が弱まり、定住の弊害が現れ出した赤点滅状態だ。そして第3ステージに進むと、人口減少(過疎化)と高齢化の負のスパイラルが繰り返される赤信号状態に陥っていく。

段階を追うのだから、第1ステージのゆがみは第2ステージに、第2ステージのゆがみは第3ステージに受け継がれていく。前回報告したように、東京23区では世田谷、足立、江戸川、葛飾、練馬の5区でとくに30代の減少率が大きく、高齢化の進展度が高い。これらのうち、定住率が高く、従って高齢化率も高い足立区や葛飾区は、第1ステージの特徴と第2ステージの特徴を併せ持った定住型高齢化の「懸念地区」である。

一方、高齢化率も定住率もまだ高くない世田谷区、江戸川区、練馬区などは、第1ステージの世代バランス崩壊による高齢化懸念地区となる。