2018.09.01
# 介護

田舎への「Uターン介護」が親のためにならない3つの理由

親子それぞれの幸せとはなにか
太田 差惠子 プロフィール

Uターンは「特養」に入る際にも不利!

「③同居によりサービスの利用が制限される」については、シンイチさんにとっては完全に盲点でした。

 

ひとり暮らしのとき、母親は介護保険で、週に2回、掃除や食事を作るホームヘルプサービスを利用していました。しかし、こうした家事援助的なサービスは、独居や高齢者だけの世帯のためのもの。そのため、シンイチさんが同居した途端、利用できなくなったのです。

これがじつは、母親にとっては大きなマイナスでした。というのも、ホームヘルパーと一緒に食事の用意をしたり、買い物に行ったりできれば、母親の気分転換になっていたのです。いまは、シンイチさんが出かけているあいだ、母親はずっとテレビを見て過ごしているそうです…。

もし、将来的に、介護保険で安く入居できる「特別養護老人ホーム」を選択肢と考える場合も、Uターンしたことは不利に影響します。入居は申し込み順ではなく、緊急性の高い人順。家族が身近に居ると入居の優先順位は低くなることが一般的だからです。

では、もはや八方ふさがりのように見えるシンイチさんは、これからどうすればいいのでしょう。

ここは一旦、仕切り直しが必要だと思います。まずは担当ケアマネジャーとよく相談をしたうえ、日中、施設で介護を受けるデイサービスなどの利用を検討したほうが母親の生活にメリハリが生まれるでしょう。

そして、妻とももう一度向き合い、今後、親の介護と自分たちの生活をどう折り合いをつけていくか話し合うべきです。母親には介護サービスをトコトン使ってもらえるように体制を整え、場合によっては、自分たち夫婦は東京に戻るなど、大胆な軌道修正も選択肢となるかもしれません。

49歳のシンイチさん夫婦は、100歳まで生きるとすれば、あと人生51年。やっと折り返し地点です。このまま行き当たりばったりでいくと、その内、母親の介護度が重くなり、アルバイトもできなくなるかもしれません。そうなれば、どうやって生活するのでしょうか。

ストレスで爆発寸前の子供から介護されるより、プロの介護を受けるほうが「親のため」になることもあります。Uターン介護を検討される際には、親子それぞれの幸せについてよく考えてから、決断されることをおススメします。

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