2018.09.01
# 介護

田舎への「Uターン介護」が親のためにならない3つの理由

親子それぞれの幸せとはなにか
太田 差惠子 プロフィール

家の中はどんどん険悪な雰囲気に…

会社を辞めて実家に戻ったシンイチさんは、当初は失業保険を受給していました。が、それも間もなく終了。贅沢を言わなければ、こっちで正社員の仕事が見つかると考えていましたが、「これがなかなか…。いまはアルバイトをしています」とシンイチさんはため息をつきます。すると、シンイチさんは、ここからまくしたてるように現在の「窮状」を話し始めるのです。

 

当初、母親は、長男夫婦がUターンしてきたことをとても喜んだそうです。しかし、それは長く続きませんでした。妻と母親の折り合いがうまくいかないことが最大の原因。「大の大人が3人、仕事にも行かずに顔を突き合わせていると、家の中はどんどん険悪な雰囲気になっていくんです」とシンイチさんは言います。

妻は母親に対して、「お義母さんは、ゆっくりしていてくれたらいいから」と、日に何度も言うようになりました。すると母親は、次第に部屋に籠りがちになっていきました。

家のよどんだ空気に耐えきれず、シンイチさんはアルバイト帰りに、飲み屋で一杯ひっかけるのが習慣になった時期も。それが妻の神経を逆なでして、シンイチさんのことをののしるようになりました。

そして2ヵ月前、今度は妻の母親が入院したのをきっかけに、妻は自分の実家へ。「それぞれ、自分の親は自分で看ましょう」という置き手紙を残し、戻ってこなくなったそうです。いまは、シンイチさんがアルバイトに行く昼間、母親は1人きり。いわゆる「日中独居」状態だといいます。

photo by iStock

シンイチさんのUターンという選択は、果たして最善の方法だったといえるでしょうか。答えはどう見ても、「NO」でしょう。

シンイチさんのように親のためを思ってUターン介護を決断する人は少なくありませんが、じつはそれが結果的に「失敗」に終わるケースというのもあります。その理由は、大きくわけて3つあります。

① 経済的苦しさなどからの家庭不和
② 親のできる力を奪う
③ 同居によりサービスの利用が制限される
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