# 介護

田舎への「Uターン介護」が親のためにならない3つの理由

親子それぞれの幸せとはなにか

「長男だから」と、仕事を辞めて田舎へ

私は90年代から老親介護の現場を取材し、そのリアルな現実や有益な情報を執筆や講演、NPO活動を通して紹介しています。

最近も、母親の介護に疲れ果てているある男性と話す機会がありました。49歳のシンイチさん(仮名)です。「親のため」と思って実家にUターンして介護をしてきたのですが、いまではそれがほんとうに「親のため」になっているのかどうかわからなくなってきたというのです。

じつは田舎に住む親の「Uターン介護」では、こうした問題に直面する方は少なくありません。

なぜそうなってしまうのか、そもそもUターン介護は「親のため」になるものなのか。シンイチさんの事例をもとに考えてみましょう。

 

シンイチさんはもともと、大学時代の同級生だった同郷の妻と結婚し、東京都内で暮らしていました。

夫婦はともに関西出身。どちらの実家も、父親は他界し、母親が1人暮らしをしていたところ、2年程前、シンイチさんの母親が骨折。介護認定を受けて、「要介護1」になったといいます。

当時、シンイチさんは会社員として働き、妻も近所のコンビニでパートをしていました。シンイチさんには姉がいますが、姉も九州で暮らしていたため、ともになかなか母親のところに戻って来れません。そのうち、実家近所の親戚から、「いつまで母親を放っておくのか?」と度々、電話がかかってくるようになりました。

「親戚の言葉にココロが痛みました。親不孝をしているな」とシンイチさんは思うようになったそうです。そして、「僕は長男ですからね。母に東京に来るよう言いましたが、耳を貸してくれません。仕方がない。Uターンを決心しました」と言うのです。

photo by iStock

シンイチさんの妻は、兵庫の実家に引っ越すことに、当初、難色を示したそうです。

「最後は、『お袋の介護は僕がやるから』と言うと、ようやくうなずいてくれました」

そう語るシンイチさんが会社に辞表を提出し、実家に戻ったのは1年半ほど前のこと。そこでさっそく、予想外の事態に直面することになるのです。