なぜ夏の甲子園人気は100年以上続くのか? 経済学者がひもといた

大きな問題を抱えているが…
中島 隆信 プロフィール

選手の健康をめぐる大きな問題

とはいえ、こうした高校野球のシステムにまったく問題がないわけではない。

いかに国民的行事とはいえ、その主役は未成年の高校生であり、高野連が教育の一環と銘打っている以上、あくまで高校生活にとってプラスになる活動でなければならないからだ。

 

そのひとつがここ数年の猛暑による健康上の問題である。

特に梅雨明けの早かった今年は、地方大会が開催される7月上旬から連日の30度超えの気温となった。

朝のニュースで「今日も猛暑日で気温35度」と聞いただけで汗が出てくるが、実際、炎天下のグラウンドはそれを遙かに上回る状況だったのではないだろうか。

野球というスポーツの性質上、プレーする選手たちは自軍の攻撃の際にはベンチで涼むことができるので対処のしようもあるが、グラウンドに立ち続ける審判やスタンドで声援を送る応援団はたまったものではないだろう。

私も北神奈川大会の準々決勝を観戦するため灼熱の横浜スタジアムを訪れたが、午前11時の試合開始からわずか1時間であまりの暑さに耐えきれず早々に退散してしまった。

こうした状況に鑑み、地方大会では夜間に試合を実施するところも出始めた。京都大会の準々決勝では第4試合が午後7時に開始され、終了は10時30分過ぎだったという。

〔PHOTO〕iStock

もうひとつは連戦による選手の疲労問題である。

8月はプロ野球にとっても稼ぎ時であるため、いかに高校野球のために建てられた甲子園球場とはいえ、好きなだけ長く使えるわけではない。

いきおい大会はトーナメント方式で実施され、日程が消化されていくにつれ各チームの試合間隔は短くなる。エース投手は連投を強いられ、肩や肘への負担は重くなる。

そこで日本高野連は、選手の健康問題に配慮し、今春のセンバツ大会からタイブレーク制度を導入した。具体的には、延長13回以降はノーアウト2塁1塁からプレーをスタートさせ得点を入りやすくすることで早く決着が付くようにしたのだ。