家の購入は多くの人にとって人生で最大の買い物ではないだろうか Photo by iStock

46歳未婚のフリーランスが、山手線のマンションを購入できたワケ

フリーランスの女とお金の関係

上野千鶴子氏の『おひとり様の老後』が75万部を超えるベストセラーになったのは、2007年のこと。それから10年強、いまでは「女が一人で生きていく暮らし」は、ひとつの生き方として普通に受け取られるようになってきた。

女性に限らず、「一人で生きる」と言った時、一番気になるのは「生計」のことではないだろうか。「子どもを産まない方が幸せじゃないかと勝手なことを考えて」いるという二階幹事長の発言に対して「46歳『未婚で子ナシ』が二階幹事長にはっきり言いたいこと」にて明快な一文を寄せてくれたフリーライターの長谷川あや氏が、「フリーランスの女性とお金の向き合い方」を自らの体験を踏まえて書く。

大学卒業後、正社員として出版社に入社。約3年半で退社して以来20年以上、フリーランスライターとして生計を立てている。フリーランスといってもいろいろだということは大前提で、つまり収入は安定していないということだ。同業の友人が、「フリーライターとフリーターって、言葉が似ているからよく一緒にされるんだよね」とぼやいていたが、え、そこ怒るところ? フリーターのなかのひとつの仕事がフリーライターだと思う。

この原稿でいくら、あの原稿でいくらといった感じで刹那的に生きていて、老後の蓄えのことに関しては、考えていなくもないが、行き当たりばったりの部分もある。少なくとも私の場合は。

『現代ビジネス』の編集者は、そんなフリーランスライターの私のマネー事情について執筆して欲しいという。私はフリーランスの代表ではないし、お金に関する意識や知識が高いわけでもない(むしろ平均より低いほうかもしれない)。ただ非正規雇用の、40オーバーの独身の女がどのようにお金に向き合ってるかという情報は、もしかしたら多少は誰かのお役に立ちうるかもしれない。そんなわけで、あくまでもひとつの例として、「私とお金」について書いてみたいと思う。

 

「マンションを買う」と決意した理由

まずは、これまでの人生で最大の買い物である「マンション」についての話をしよう。

大学入学を機に上京した18歳のときから、2012年9月、40歳でマンションを購入するまで、20年以上もの間、家賃を払い続けてきた(学生時代は親に払ってもらっていた)。そのことに疑問を感じたこともなかったし、会社員の友人たちが当たり前のように持ち家を購入するのも他人事だった。マンション購入など、私には望外の夢だと思っていた。不勉強で恥ずかしい限りだが、フリーランスの私に住宅ローンが組めるとは考えてもいなかったのだ。

しかし私がぼやぼやと生きている間に時代は変わっていた。フリーランスの40女がどうやってローンを組んだのかを知りたい人も多いかと思うが、最初に書いておこう。今のニッポン、よほど高齢だったり、所得が低かったり、高額の借入を所望したり、信用情報にキズがなければ、フリーランスでも比較的容易に住宅ローンは組める。ただし、条件付きで。

「一生賃貸でいい」という気持ちが揺るぎ始めたのは30代後半、生涯ひとりで生きていくことが現実性を帯び、パートナーと暮らすことが今世においてはファンタジーになったことを実感した頃からだ。シニアのひとり暮らしは、家を借りづらいと聞いたことがある。老人になってから家探しで苦労するのはご免こうむりたい。マンション、買ったほうがいいのかな──。漠然とそう思い始めた。

しかしすぐ具体的に動こうとはしなかった。重い腰をあげたのは2011年の夏、当時住んでいた中野の賃貸マンションの11年目の更新に際してだ。この部屋にこれまで1000万円以上の家賃を払い続けてきた。そして、今後いくらお金を払い続けてもこの部屋は私のものにはならない。あえて気付かないふりをしていたことが、やたらとリアルに迫ってきた。買っちゃいますか、マンション! 突如そう思った。

震災のことは考えなかったのか。そう友人に聞かれたことがある。むしろ震災のことを考えたら買ってないかもしれない。地震保険もたいして出ないと言われているのだから。つまり、私はそこまで深く考えはしなかったわけである。

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