衰退する郊外エリアでも「都心勤務のファミリーが増加中」のワケ

千葉・検見川を歩いてわかった新事実
現代ビジネス編集部 プロフィール

イオンが「高齢者特化型」スーパーを開業

検見川の浜。ウィンドサーフィンのセイルが映える

検見川は花見川区、美浜区とも、確かに古い住宅街なのだが、海岸だけは別だ。千葉市が管理するヨットハーバーと、海岸沿いにまっすぐ伸びるサイクリングコース、数年前にオープンした海を一望できる結婚式場+レストラン「ザ・サーフ・オーシャン・テラス」。写真だけ見せられたら逗子や葉山と間違えるような海辺の景色が広がる。

これは間違いなく街の活性化につながる観光資源だ。しかし、浜辺で休憩していた初老(60代)の男性に聞いてみると、検見川の生活と海は結びついていないことがすぐに分かった。

「ここ20年ほどほぼ毎週この検見川の浜でサイクリングしてるけど、地元の人は少ないね。数十年前は海だった場所だから、昔から住んでいる人がそもそもいない。漁師もいないし。道路向こうの病院(千葉市立海浜病院)の患者さんなのかな、リハビリに来てる人はときどき見かけるけど、マリンスポーツやってる若い衆はほとんど東京から来てるんじゃないかな」

検見川の人工造成海岸に佇む地元住民。他の住民はあまり見かけないと言う

埋め立て造成地の中心であるJR検見川浜駅から海岸までのエリアには、1970年代半ばに建てられた検見川県営住宅、同時期に分譲された磯辺第一住宅団地、磯辺西住宅などの集合住宅が広がり、それなりに人の姿はあるものの、海岸の空気とは分断された典型的な住宅街。検見川浜駅の北側にある美浜区役所の周辺もUR都市機構の真砂団地など、古い団地群が並ぶばかり。

不動産価値を引き上げてくれそうな要素はなかなか見当たらない。むしろ、高齢化が進む現状を再確認できたのが、検見川浜駅のすぐ北にある「イオンスタイル検見川浜」での聞き込みだった。

JR検見川浜駅の北側に開業した「イオンスタイル新検見川浜」

「昨年春に撤退したスーパーのイズミヤを全面改装してできたのがこのイオンスタイル。イズミヤのころから客のほとんどが団地の住民だったのですが、イオンはいまや高齢化した当時の客たちにターゲットを絞り、シニアに特化したサービスや商品を揃えて効率的に売り上げを伸ばす勝負に出たわけです」

そう話してくれたのは、テナントとしてイオン内に店舗を構える家電店の店員さん。なるほど、取材当日イベントスペースでは「自分史を作ろう!」講座が開かれており、参加した60〜70代の男性たちが熱心にメモを取っていた。隣接するカフェからその様子を眺めていると、隣のテーブルでは同じような世代の女性たちが葬儀の相談なのか、激論を戦わせていた。

この「自分史を作ろう!」講座以外にも、高齢者向けのイベントが毎日のように行われている