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好調・串カツ田中が、あえて「キャッシュレス化」を進めない理由

飲食店経営の知られざる苦労
我妻 弘崇 プロフィール

「京懐石料理店時代はクレジットカードに対応していました。ですが、当時から手数料の高さは悩みの種だった」

坂本氏は、串カツ田中が現金決済にこだわる理由として、「手数料の問題が根強い」と断言する。

「飲食業界は、いかに売り上げを上げて、いかにコストを下げるかが勝負になる世界。黒字になっているお店でも、営業利益率は5~10%くらいではないでしょうか。

飲食業界では、原価率を売り上げの30%以下に抑えることが望ましく、同じく30%程度の人件費がかかります。その上、テナント・家賃代として10%、その他諸雑費を計上すると90%はかかってしまう。

その中でクレジットカードの手数料が売り上げの3~5%を占めるのは非常に厳しい。飲食店を経営したことがない方には想像できないかもしれませんが、3~5%の負担は重すぎます」(坂本氏、以下同)

一か月の串カツ田中の一店舗当たりの売上を、600万円と仮定しよう。そのすべてがクレジットカード決済だった場合、4%の手数料であれば24万円が引かれることになる。「24万円もあれば一人雇える」と坂本氏が苦笑するように、何かをするわけではない手数料だけで、これだけの額を差し引かれるのは、眉をひそめて当然だろう。

「串カツ田中の一人当たりの平均客単価は約2400円です。営業利益率を10%(約240円)として24万円分を回収するとなると、月1000人のお客さんを増やさなければいけません。

それを考えると、クレジットカードを導入しないという結論に辿り着く。商品の単価を上げれば解決するでしょうが、我々のように幅広い世代に対してサービスを提供する大衆的な飲食店は、容易に単価を上げることはできません」

 

また、クレジットカードによっては、カード決済による金額回収が翌月になるケースもある。そのため、飲食店サイドの手元にキャッシュが残らず、十分な資金のプールがない個人経営店などは、後日代金を支払う約束で品物を買い取る買掛の支払いもままならなくなる可能性がある。

前述の通り、手元にキャッシュがあるか否かは、飲食店の運命を分ける要因だ。「タイムラグによるデメリットもクレジットカード決済の問題の一つ」と坂本氏が指摘するように、飲食店事業者にとってクレジットカードは、我々の想像を超えるほど厄介な存在というわけだ。