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好調・串カツ田中が、あえて「キャッシュレス化」を進めない理由

飲食店経営の知られざる苦労

クレジット可の店舗は7.73%

今年4月、経済産業省は2025年までに紙幣・硬貨を使わないキャッシュレス決済を、現状の倍である40%まで引き上げる「キャッシュレス・ビジョン」を策定・発表した。また、年々増加するインバウント対策として政府は、「東京オリンピック・パラリンピック開催時までに、外国人が訪れる主要な施設・観光スポットにて100%のクレジットカード決済対応を目指す」ことも公表した。

急速に進展する日本のキャッシュレス化。今や、いたるところで電子マネーやクレジットカードを介したキャッシュレス決済が進行している。しかしそんな中、誰もが知る有名チェーン店にもかかわらず、現金でしか決済できない店がある。

その一つが大手外食チェーン「串カツ田中」だ。

串カツ田中は、現在、全国で205店舗、海外で2店舗(2018年8月12日時点)を展開している。だが、その中でクレジットカードが使えるのは、あとで詳述する通りわずか16店舗にすぎない。割合にして、たったの7.73%である。

串カツ田中と言えば、全店舗禁煙を進めるなど先進的な経営策を展開することで知られる。そんな有名チェーンが、なぜ世の趨勢に背を向けてキャッシュレス化を進めずにいるのか。そこからは、飲食店の経営にまつわる苦労が垣間見える。

 

「まず、経営においてキャッシュが重要であることは、基本です」

そう語るのは、公認会計士であり株式会社串カツ田中ホールディングスの取締役経営戦略部長を務める坂本壽男氏。

串カツ田中を展開する以前、貫啓二(ぬき・けいじ)社長は、高級業態の飲食店である京懐石料理店を経営していた過去を持つ。多くの客が押し寄せ、流行に乗ることができた一方、キャッシュフローが回らず、料理人のマネジメントに苦慮し、倒産寸前まで追い込まれた苦い経験がある。

それゆえ、現金を手元に置いておける支払い方式を選択している側面があるだろう。キャッシュがあれば新規投資や店舗拡大にも対応しやすい。キャッシュを重視するこうした経営を「キャッシュフロー経営」と呼ぶこともある。

こうした基本的なキャッシュの重要性に加えて、串カツ田中がキャッシュレス化を進めないのには、もう一つの重大な理由がある。それは、クレジットカードの「手数料」である。