Photo by iStock

理性・知性・感性……「限界」シリーズを書いた最大の目標

大槻義彦先生との対話より
圧倒的人気を博している高橋昌一郎氏の「限界」シリーズ。このシリーズの最大の目標は、多彩な限界に潜む「不思議」の「知的刺激」を読者に味わってもらうことにあった――読者から「入手困難だけど読みたい!」とリクエストがあったエッセイを、読書人の雑誌『本』(2012年5月号)より特別掲載!

シンポジウムの後で

2011年3月11日、東日本大震災が発生した。大地震と大津波と原発事故の組み合わせという「想定外」の悪夢は、大自然の脅威の前で人間がいかに卑小な存在かを思い知らせる出来事だった。被災された皆様と関係者の皆様に、心よりお見舞い申し上げたい。

それからちょうど1年が過ぎた本年3月11日、「どのように原子力と対峙すべきか」というシンポジウムが京都大学理学部セミナーハウスにおいて開催された。

パネラーは、佐藤文隆氏、坂東昌子氏、安斎育郎氏、松田卓也氏、宇野賀津子氏、それに大槻義彦氏も急遽加わるという錚々たる大家の皆様で、不肖ながら私が司会を務めさせていただいた。

 

幸いにも、皆様が率直なご意見を闘わせてくださったおかげで、活発な議論が盛り上がり、討論時間も大幅に延長する結果となった。

そこで生じた興味深い話題については、最近上梓した『感性の限界――不合理性・不自由性・不条理性』に詳しく記しておいたので、ご参照いただければ幸いである。ここでは、本書で触れなかったエピソードをご紹介したい。

大槻義彦氏から頂戴したお叱り

2008年6月、『理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性』を上梓した。驚いたのは、これほどまでに硬いタイトルの書籍であるにもかかわらず、読者の皆様から大変温かく受け入れていただいたことである。

現在14刷(編集部注:2018年時点で18刷)まで版を重ねていることは、著者としても望外の喜びであり、何よりも読者と関係者の皆様に深く感謝の意を表明したい。

もちろん、称賛ばかりでなく、叱咤もあった。とくに厳しかったものは、「理性にも科学にも限界はない。それにもかかわらず、『理性の限界』というタイトルからして「怪(け)しからん」という主旨で、早稲田大学名誉教授の大槻義彦氏から頂戴したお叱りである。