画/おおさわゆう

医者の私も受けたくない…!「つらい精密検査ランキング」

覆面ドクターのないしょ話 第28話
毎年、人間ドックを受ける度に「胃カメラ」を飲む。担当の検査医の腕がいいので耐えられないほどではないが、苦しいので毎回憂鬱になる。これが、「癌の疑いあり」となって、身体の組織を採取するともなれば、どれほどの負担になるのか。できれば、そんな検査とは無縁なまま一生を終えたいと思うのだが、こればっかりは望み通りになるとは限らない。というこで、今回は、次郎先生が精密検査の実態を教えてくれる。

「ダメダメ、出ちゃう! 見ないで!」

「精密検査を受けることをお勧めします」

主治医からこんなことを言われたら不安になりますよね?

 

検査には順番がある。そのキーワードとなるのが「侵襲」だ。「侵襲」とは「痛み」「体へのダメージ」などと言い換えることもできる。「侵襲の少ない検査」=「痛くない検査」から行うのが正しい順番である。

理想的な検査とは、超音波検査・尿検査・便検査のような、痛くなくて放射線も曝(あ)びないものであり、これらが第1選択である。胸のレントゲンと採血は準第一選択で、CT、MRIは第2選択となる。

3番目が内視鏡検査であろうか。そして4番目は、手術に準じて生体組織を採取する検査、これを生検という。腎臓・肝臓の組織を採取する腎生検・肝生検、背骨(特に腰椎)の隙間から髄液を採取する腰椎穿刺、骨髄を採取する骨髄生検などがある。

内視鏡開発を題材にした小説『光る壁画』(吉村昭)は読んで感動したんですか……。

3番目以降は、どれも患者さんにかなり侵襲を加える、つまり苦痛を伴う検査である。

話を内視鏡に戻そう。胃、大腸の内視鏡検査はよく行われる。その他、鼻腔・気管・腹腔・膀胱・関節などにも内視鏡検査は行われている。

胃の内視鏡では、「オエッ」という嘔吐反射が起きるし、窒息するようなのどの閉塞感を覚える。

大腸の内視鏡は、肛門から内視鏡を挿入するのだが、腸の曲がり角に内視鏡の尖端がぶつかると刺し込むような鈍痛が生じる。

大腸は、胃・食道と異なり、通常はぺちゃんこにしぼんでいる。このため、空気を送り込み、膨らませて検査をするのだが、当然お腹がガスでどんどん膨らむ。

「おならしていいですよ」

と検査中に担当医から促される。私の実体験によれば、催した際の感覚はおならではなく、下痢が始まった感覚に似ている。

「ダメダメ、出ちゃう!見ないで!」

こんな感覚なのだが、最後はついに我慢できなくて、お漏らしすると、

「プ~ッ」

と、ガスだけが出てくるのだ。術前に下剤を飲まされているので、幸い実は出てこない。

このように、大腸内視鏡検査では、お尻から管を突っ込まれる「屈辱感」に加え、人前でお漏らしするような「羞恥心」も重なり、できることなら受けたくない検査ではないだろうか?

私の患者さんで、ある熟女がいる。年齢を重ねるにつれ、体のあちこちに症状が出て来た。この間、「便が黒っぽい」と言うので、再び専門病院を紹介した。すると熟女は私の勧めを言下に拒絶した。わけを聞いてみると……。

「だって、精密検査を受けに行くと、いろんな穴にいろんな物を入れられちゃうからイヤなんです!」