トルコショックより大きな危機が、これから世界経済を襲う可能性

重要な局面変化に備えよ
唐鎌 大輔 プロフィール

震源地・アメリカの目を覆いたくなる「指標」

景気の方向性を示す経済指標で速報性の高さから市場で最も注目されるソフトデータはPMI(購買担当者景気指数)であり、企業の購買担当者に新規受注や生産、雇用の近況などを尋ね、その結果を指数化し公表するものである。

 

景気に関し50を上回れば拡大、下回れば縮小を意味する。多くの国・地域について数字が用意されているため、世界経済の現状を素早く把握する手段として広く運用されている。

総合、製造業、サービス業といった区分で公表されるが、とりわけ製造業の購買担当者であれば製品の需要や自社の生産計画、取引先の動向などを見極めた上で仕入れを行うと考えられるため、その動きが景気に対して先行性を持つことで知られている。

上図に示されるように、先進国・新興国の別を問わず、2018年初頭をピークに下落に転じており、2016年1~3月期をボトムに続いてきた世界経済の拡張局面が転機を迎えている様子が窺える。この間に複数回の利上げやバランスシート縮小に着手できたFRBは外部環境に恵まれていたという側面も忘れてはなるまい。

如何にFRBと言えども、世界経済のモメンタムが下降局面にある最中では7回利上げして、バランスシート縮小にまで至るのは難しかったと考えられる。

ちなみにPMIを国・地域別に見ると(上図)、米国だけは4月まで拡大基調を維持していたが、5月以降は失速感が隠せていない(図中点線四角部分)。

各種減税措置が寄与している分、景気のモメンタムが長続きしたのだろうが、そもそも永続性を期待するようなものではない。

真っ当に考えれば、利上げの累積的な効果が金利感応度の高い消費・投資を減速せしめる局面に入ってきている可能性を留意すべきである。

ちなみに米国に関するソフトデータでは毎月初に公表されるISM景気指数も注目だが、7月分は製造業・非製造業(サービス業)ともに予想比大きく悪化している。これまで米国以外の国・地域で進んでいた企業心理の悪化が震源地である米国にも影響が及び始めたのではないか。

トランプ米政権の下で先鋭化する保護主義が従前の自由貿易ルールを根本的に変える局面に入ったと理解されてくれば、企業は設備や雇用などに係る投資を手控えざるを得なくなるだろう。現在のソフトデータ悪化は将来のハードデータ悪化の「芽」であることを忘れてはならない。

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