フォーラムには300人超が集まった(商業周刊提供)

『未来の年表』著者が日本より急激に少子高齢化する台湾で訴えたこと

出生率は7.04から1.13へ急降下
10年後、20年後の日本にいったいどんな未来が待ち受けるかをリアルに描いた『未来の年表』『未来の年表2』は、累計70万部を突破している。その著者でジャーナリストの河合雅司氏が、このたび、「新台湾未来の年表サミットフォーラム」に招かれた。台湾には、少子高齢化が急速に進むことへの危機感が漂っていたのだ――河合氏に同行した編集者Yが描いた、台北講演旅ルポ!

40分に1人が認知症に

河合雅司氏は生まれて初めて台湾を訪れていた。羽田空港から台北・松山空港へ降り立つと、予想通り暑かったが、空気は思ったよりもカラッとしていた。心地よい風がほどよく吹き、直射日光さえ避ければ、東京よりも過ごしやすい。

「台北の原宿」とも呼ばれる西門町では、平日から多くの若いカップルがショッピングデートを楽しんでいる。かたや、タバコ工場をリノベーションしてつくられた複合文化施設「松山文創園区」では、洒落た雑貨や食料品を求めて、子供連れ家族が微笑んでいる。広々とした庭園をちょこまか走り回る子供が愛くるしい。

 

その松山文創園区に入る大型書店「誠品書店」には、河合氏が著した『未来の年表』台湾版が並んでいる。『未来の年表』シリーズは現在、台湾でも多くの読者の関心を呼んでいるのだ。

一見、若い活力がみなぎっているように思える台湾で、なぜいま、日本の少子高齢化を扱った翻訳本が話題になっているのだろうか?

誠品書店に置かれた『未来の年表』台湾版(究竟出版提供)

実は台湾は、これから日本よりも急激な少子高齢化に見舞われるのである――。

今年3月、65歳以上の割合が14%を超え、高齢化社会の仲間入りをしたのだが、2026年には、認知症患者が平均して40分に1人増加し、2034年には、2人に1人が50歳以上となるという。ちなみに日本は、2020年に女性の2人に1人が50歳以上になると予測される(『未来の年表』に詳述)。

日本の合計特殊出生率は1.43とかなり低いが、台湾のそれは、後にも触れるように、なんと1.13(2017年)。1951年の台湾の出生率は7.04だというから、その急激な低下ぶりには驚かされる。台湾の少子高齢化のほうが、日本よりも深刻になるのだ。

そんな状況を敏感に察知したのか、「将来の展望 新たな社会×新たな富×新たな青写真 新台湾未来の年表サミットフォーラム」(主催:中国信託商業銀行 商業周刊。共催:究竟出版 圓神出版事業)と題されたフォーラムが開催されることになった。

『未来の年表』を参考とし、少子高齢化という静かなる有事について探究し、今後の「富」に関する新たな青写真を描くのだという。そのために、日本から河合氏が演者として特別に招聘されたのである。2018年8月3日のことだった。

日本の経験をシェアしたい

主催者である商業周刊の担当者によると、定員300人のところ、500人もの申し込みが事前にあったという。「定員をもっと増やしてもよかったが、フォーラムの質を保ちたいから、300人以上には増やさなかった」(担当者)。

14時から始まるフォーラムの会場は、30分前の開場から老若男女問わず、参加者が続々と来場した。『未来の年表』台湾版も販売されており、河合氏がその様子を写真に収めていると、次々と写真撮影とサインを求められる。フォーラム参加者の熱心さに、河合氏の顔がほころぶ。

会場には『未来の年表』台湾版が並ぶ

やがて会場は満員となった。定刻。まずは龔汝沁氏より、歓迎の挨拶がなされた。

「あなたは、100歳まで生きていくと思いませんか? どのようにプランを立てていくか、考えていますか? 台湾の高齢者は全人口の14%。アジアでトップ3になりました。2017年の出生率は20万人を切っています。日本の危機は台湾の明日の危機なんです。本日は、日本の経験をシェアしたいと思います」

挨拶の最後、「私たちには何ができるのでしょうか? ……合コンを開催しなければならないでしょう」、と述べたところで会場が一気に和んだ。中国信託銀行個人金融CEO・李玉秋氏の挨拶がそれに続き、いよいよ河合氏による基調講演である。参加者たちは同時通訳を聴こうと、ヘッドフォンを一斉に付ける。

そして河合氏が凛々しく登壇すると、少し沈黙した後に、300人の参加者に向けてこう呼びかけたのである。

「你好(ニーハオ)。はじめて私は台湾を訪れました。日本と台湾は、東アジアの中で大きな繁栄を続けていくリーダーのような存在として、今後もともに手を携えて行かなくてはならない。しかし、日本と台湾には共通の大きな課題が横たわっております。今日はその話をするために、東京から参りました。

その問題とは、人口が減っていくことであります。日本が抱えている課題は、いずれ台湾の問題として皆さんの社会に大きな影を落とすだろう。皆さんがこれから進んでいくためのヒントをお伝えできればと思っています」