大塚家具の大塚久美子社長(同社アニュアルレポート2018より)

大塚家具・久美子社長と石破茂が陥っている「同じ勘違い」

「正しいこと」と「できること」は違う

誰もが「久美子氏支持」だったが…

大塚家具が経営不振に陥っている。大塚久美子社長が当時、会長だった創業者で父親の勝久氏から経営の実権を奪ってから3年半。同社が示す教訓は会社経営にとどまらない。政権運営にも通じる。同じ勘違いをすれば、政権も迷走するのだ。

大塚家具の2018年6月中間決算は、3年連続の通期赤字予想に修正したほか、決算短信に「継続基調の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン)」が加えられた。これは「事業継続にリスクがありますよ」という投資家向けの警告である(https://www.idc-otsuka.jp/company/ir/tanshin/h-30/h30-08-14.pdf)。

もっとも懸念されているのは、営業損失と営業活動に伴う現金の出入りを示す営業キャッシュフローのマイナスだ。営業損失は35億600万円、営業キャッシュフローは20億8000万円のマイナスに上った。営業しても利益が出ないだけでなく、会社から資金流出が止まらないのだ。

 

短信の注記によれば「継続的な事業展開と安定した収益基盤の整備に必要な資金を調達するため、資本増強や事業シナジーを生む業務提携について様々な選択肢を多面的に検討」するとしている。だが、肝心の提携相手が決まらない。

家電量販店のヨドバシカメラや貸し会議室大手のティーケーピー(TKP)、台湾企業などが提携候補と報じられたが、ヨドバシカメラは「その気はない」と発表している。身売り交渉では、久美子社長の退任が条件になったものの、本人が応じていないという報道もある(https://www.asahi.com/articles/ASL8G5V1ZL8GULFA00Y.html)。

これからどうなるか、展開を見守るしかないが、私は3年半前の内紛勃発当時から、久美子氏の経営手腕には懸念を抱いていた。

レギュラー出演しているテレビ番組『そこまで言って委員会』で「久美子氏と勝久氏のどちらを支持するか」と問われた際は、躊躇なく「勝久氏」を支持した。私以外のパネリストは、ほとんど「久美子氏支持」だったと記憶している。

連載していた『週刊ポスト』のコラムでも「久美子社長は少し事を急ぎすぎたのではないか」と批判的に書いた(https://www.news-postseven.com/archives/20150317_309744.html)。

経済誌を含めてマスコミでは、経営コンサルタント出身という彼女の経歴がモノを言ったのか「久美子氏支持」の論調が多かったと思う。勝久氏の経営手法は、いかにも古臭いかのような印象で報じられていたのである。

だが、それは間違いだった。

大塚家具は勝久氏が1969年、大塚家具センターとして創業した。商品は問屋を通さず、工場から直接仕入れる。顧客には専任の営業担当者が付いて、家具だけでなく、照明などインテリア全般の相談に乗る独特のスタイルで業績を伸ばした。

ところが、久美子氏はニトリやIKEAなど低価格を武器にした大型店が台頭する中、「もっと入りやすい店作り」を掲げて、顧客に名前を書かせる会員制をやめる改革に乗り出す。商品も高級志向だけでなく、中価格帯を増やした。

だが、結果は中途半端だったようだ。ニトリやIKEAほど安くはなく、だからといって、本格的な高級志向でもない。マンション需要や買い替え需要が低迷した背景もあっただろう。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら