24歳女性に「ダメ保険」を売りつけた悪質営業マンの騙し手口

「保険で儲かる」を信じてはいけない
岩城 みずほ プロフィール

「解約してもいい」という甘い言葉

2つ目のポイントは、セールストークの中身。

これを吟味することで、営業マンが顧客にとって最善の利益を追求しているのかどうかがわかります。

 

まず、彼女の入った保険は、保険会社が株式や債券などの金融商品で運用し、その運用実績に応じて保険金や解約返戻金などの受け取り金額が変動するものです。保険ですので「保障」機能はマスト。つまり、言い換えれば、保障にコストがかかるため、資産価格の上昇ほどには投資成果を得るのは難しい商品であるということです。

低コストの国内外のインデックスファンドなどで運用して、保障は別途掛け捨ての安い保険を持てばすむものを、わざわざ保険会社に高いコストを支払って運用してもらっているということです。

しかも、陽菜子さんの場合、どちらも、契約者、被保険者は24歳の陽菜子さんで、死亡受取人はともにお母様です。もちろん、陽菜子さんはお母様を扶養してはいませんし、生命の原理として、後に残るのは若い陽菜子さんのほうでしょう。

つまり、陽菜子さんは、そもそも死亡保障など必要としていないのですから、「運用商品として」この保険を勧められたことになります。その時のセールストークは次のようなものでした。

先輩のトーク①「月々払いのほうは、10年で保険料の払い込みをやめて、それ以降はそのお金を運用するだけにしてもいいし、解約してもいい。その時の実績で考えよう」

わかりやすく言い換えれば、「10年間はやめると損。でも、11年目に払い済み保険にすれば、その後の保険料は支払わないで、その時に貯まっている解約返戻金を一時払い保険料として同じ終身保険に切り替えることができる。あるいは、解約してもいいんじゃない?」と言っているのです。

先輩のトーク②「3回払いのほうは、月払いよりもかなりお金の移動が楽(普通の口座みたいな感覚)だから、お金を下ろしたり、融通が効くよ」

これは、ほぼ意味不明です。お金を下ろしたり融通が効くよというのは、「契約者貸付」のことを言っているのでしょうか。制度上は可能ですが、あくまで借り入れですから、借入金利を支払う必要があります。普通預金にお金を入れておけば、必要な時に出し入れ自由なのに、なぜ、わざわざコストを支払って借り入れをしなくてならない状況を勧めるのか謎です。

先輩のトーク③「今すぐ必要なお金でないのだから、とりあえず入れておいて、必要なときにどちらも解約すればいいよ」

とりあえず入れておくなら、普通預金のほうが流動性が高いという理由でよっぽど気が利いていますし、当分使わないお金なら、安全性を重視して「個人向け国債変動10」、また、リスクをとって収益性を求めたいなら、税制優遇の大きいiDeCoやNISAのほうが経済合理的です。というわけで、これも意味不明。先輩、金融のプロならプロらしくもっと勉強してくださいと申し上げたいです。