リーマン危機から10年、日本企業「株価下落率」ランキング500

建設、電機、銀行…10年の苦しみ
井上 哲男 プロフィール

機械、輸送用機器分野でも合計20銘柄がマーケットから姿を消した。

電気機器や自動車などの日本のお家芸と言われた輸出型製造業は、リーマン・ショック以降、合理化が進められ、企業グループは持ち株会社化による再編を進めていった。

その過程で卸売業も43銘柄が市場から姿を消した。富士通系、日立系、NEC系の電気部品系の卸売商社が再編によって本体に吸収されたり、淘汰されたりした結果だ。

またガラス・土石製品、鉄鋼、非鉄金属なども計25銘柄が減少。素材系もリーマン・ショック後の不況を生き残ろうと必死の再編を進めてきたわけだ。

 

コストカット、ポスト削減、再編と淘汰…

こうした再編・淘汰はリーマン・ショックを機に、日本の大企業群が高度成長期に肥大化した管理コストを一気に縮小させたことを意味している。

景気拡大期には、社員に報いるために役員はじめ幹部ポストを次々に用意する必要があった。ところが5社あれば5つの管理部門が必要で、リーマン・ショック後の景気低迷期にはこの管理コストが過重に企業にのしかかることになる。そのコストを一掃するために、大企業は続々と再編を進めていったのだ。

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この合理化、構造改革を実行するうえで欠かせなかったのが、IT化やアウトソーシングだった。このため情報通信はこの10年で新たに77社がマーケットに登場。サービス業は59社が新規上場したのである。なかでも顕著なのは人材サービス業だった。

リーマン・ショックとその後の東日本大震災もあり、国内の景気も冷え込んだ。小売業の再編も著しく、業界の減少幅は電気機器、卸売業に次いで3番目。30社がマーケットから姿を消した。その後、台頭したのはよりITにより合理化されたイーコマース(EC)。構造転換以前にまったく新しいビジネスが台頭したのが小売業界だったのだ。

建設業も23社がマーケットから姿を消した。世界的な景気回復と、アベノミクスや2020年東京五輪の開催決定で公共事業が盛り上がる前に、リーマン・ショックで加速した建設不況で淘汰された銘柄が23社もあったということだ。

リーマン・ショック以降の不況とその後の景気回復期を経て、いまこの10年を振り返れば、再編・淘汰で合理化や産業構造の転換に適応した企業の銘柄が上昇し、またその対応が遅れている銘柄が下落したことがわかる。

この下落率ワーストランキングは、いまだにリーマン・ショックの爪痕に苦しんでいる銘柄がこれだけあるということでもあるのだ。