子供のいる夫婦が、家を買ったら人生大コケする可能性

データで徹底的に検証する

一方、この夫婦が35歳で持ち家を購入したとすると、貯蓄額の推移は図37のようになります。

この場合、それまでの貯蓄は不動産購入の頭金にすべて使っていますから、教育費の大半を借り入れで賄わなくてはならなくなります。

この借入額は、長女が大学を卒業する時点では2700万円にもなってしまいます。年間収支はその後プラスに転じますが、定年までにはとうていこの借金は埋まらず、退職金を充当してようやく完済することが可能になります。

 

借金返済後の金融資産は1000万円に満たない額ですが、この夫婦には不動産資産があるので、30年の住宅ローンを払い終わったあとで持ち家を売却すれば、3000万円程度の貯蓄をつくることは可能です。

しかし、一見すればわかるように、このような設定は明らかに非現実的です。このシミュレーションでは、家を購入した35歳時点から貯蓄はマイナスに陥り、その「債務超過」状態が60歳まで、25年間も続きます。もちろん、こんなことが現実に続けられるわけがありません。

まず、住宅ローンも完済していないのに、新たに3000万円近い借金をすること自体、ほぼ不可能です。銀行ローンを利用するとして試算してみると、60歳時点での借金額は5000万円超。退職金をすべて返済にあて、おまけに自宅まで売り払って、ようやく返済できる金額です。

そのあとの収入は年金だけですから、生活していくだけでもたいへんです。これでは、何のために一生懸命働いて、子育てしてきたのかさっぱりわかりません。

もちろん、きちんとしたライフプランを立てたうえで、「俺の場合は家を買っても充分にやっていける」と判断されたのならば、それはそれで何もいうことはありません。問題なのは、不動産の営業マンにいわれるがままに、たいした頭金もなしにマンションを買い、漠然と、「子どもはやっぱり私立に入れなくちゃ」などと思っている家庭です。

こうしたケースでは、家計の破綻リスクが高くなりますから、早めに持ち家を売却して賃貸生活に戻るか、徹底的に支出を切りつめて子どもの中学入学までに充分な貯蓄を形成するか、夫婦共働きにして所得を増やすか、とにかくなんとかしないとどうにもなりません。

こういう人たちこそライフ・プランニングが必要なのです。