子供のいる夫婦が、家を買ったら人生大コケする可能性

データで徹底的に検証する

真の自由は経済的独立からしか生まれない

このように、「経済的独立」とは「働かなくても生きていける立場になること」です。

というと、なんだか金持ちのススメみたいですが、そんなことはありません。サラリーマンであれば、よほどのことがないかぎり、65歳で現役を引退することになります。このとき「働かなくても生きていける立場」になっていなかったら死んでしまいますから、人生の最終目標は誰にとっても「経済的独立」ということになります。

ところが日本の場合、現役引退後の生活は公的年金によって保証されていましたから、これまでそのことはあまり意識されてきませんでした。国家の力によって誰もが「自立(独立)」できるなら、そんなことを考える必要もないからです(ほんとうは、これを「自立」とはいわないのですが)。

 

では、私たちは人生の目標を「65歳(あるいは60歳)で経済的に独立すること」と決めて、人生を設計すればいいのでしょうか?そんなことはありません。働くことが物理的に不可能になった時点で経済的に独立していることは、人生設計の最低条件でしかありません。もっと早くその目標を実現しても、ぜんぜん構わないからです。

中学を卒業して働き始めて、18歳で1億円くらいの資産を形成して「経済的独立」を達成したっていいわけです。

人はみな自由に憧れますから、アメリカの若いビジネスマンの間では、少しでも早く(できれば20代で)経済的独立を達成することが、人生の第一目標になってきています。目標どおり「独立」できたならば、その後どのように生きるかは、それこそ、「自由」に選択すればいいわけです。

私たちはいつのまにか、65歳で経済的に独立するという【最低の】目標を、人生における【最終の】目標と取り違えていたようです。私たちもできれば20代、それが無理なら30代で、もしくは40代で「経済的独立」を達成できるよう、人生設計を根本的に組み直す必要があります。それに失敗したときに、最悪でも65歳で経済的に独立できるように、リスクをヘッジした計画を立てておけばいいわけです。

大事な結論

ではこれから、もっとも重要なことを述べましょう。

結論から先にいいます。

子どものいる夫婦は家を買ってはいけません。

図35は、30歳で出産し、子どもが中学に入学する直前の40歳で不動産を購入した夫婦の貯蓄額の推移です。

なぜこんな悲惨なことになってしまっているかというと、中学入学から大学卒業までの「大出費の10年」の前に、不動産の頭金として、貯蓄をすべて使い果たしているからです。

この状態で、毎年のキャッシュフロー(現金収入)で教育費とローン返済を含むすべての支出が賄えなくなると、家計が赤字のうえに貯蓄はゼロですから、借金するほかなくなります。この状態を10年も続けていくと、借金も複利で増えていきますから、いずれは返済不可能な額にまで膨らんでしまいます。

次に、この図を見てください。

まったく同じ条件で、なぜ不動産を購入しない場合だけ、家計の破綻を免れているのでしょうか。その理由は簡単で、不動産資産の代わりにキャッシュ(金融資産)を持っているため、不必要な借金をせずにすんでいるからです。逆に不動産を購入した夫婦は、短期間に不動産と教育費というふたつの大きな買い物をしたわけですから、支出超過で家計が破綻しても何の不思議もないわけです(もちろんこの場合も、毎年のキャッシュフローで教育費を含む支出をすべて賄えるだけの所得を確保できれば破綻は免れます)。

ところで、私たちの知る範囲では、これまでどんなライフプランの本も、どんなファイナンシャル・プランナーも、「子どもをつくったら家を買ってはいけない」などということは教えてはくれませんでした。

しかし、子どもに私立学校で教育を受けさせることを前提とするかぎりにおいて、高給サラリーマンや親からの多額の贈与のような特殊な設定にしないかぎり、いくらシミュレーションをしても、この結論は変わりません。子どもの教育という人生で最大級の支出が始まる時点で、それなりの備えができていない家計は、かなりの確率で破綻してしまうのです。