〔PHOTO〕立木義浩
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美味しいシングルモルトのチェイサーにはシャンパンを

タリスカー・ゴールデンアワー第17回(後編)

提供:MHD

⇒前編【ウイスキーもダンディズムも、ほどほどがいちばんです。

(構成:島地勝彦、撮影:立木義浩)

中野: シマジさんの今日のお召し物は変わっていますね。

シマジ: さすがは中野さんです。これはローブジャケットといいまして、またの名をショートガウンジャケットとも呼ぶんですが、去年の秋頃から気に入って愛着しているんですよ。

中野: ではいま着ていらっしゃるのは、夏用のローブジャケットなんですね。

シマジ: そうです。LARDINIのもので素材はリネンです。見た目の印象よりも軽くて涼しいんですよ。これは部屋着としても使えるし、ちょっとしたパーティにもこのスタイルで行けてとても便利です。

中野: 貴族っぽいというか、貴族の服ですね。しかも紐の結び方がハンフリー・ボガートのボギー結びになっています。

シマジ: ご明察。とにかく、なんの縛りもなく自由に生きているわたしにはうってつけで、重宝しています。

ボブ: シマジさんはこういうお洒落なものをどちらで購入しているんですか?

シマジ: 広尾にセンスのいい夫婦がやっている「ピッコログランデ」というブティックがあって、そこで手に入れています。店主の加藤任は「島地勝彦公認スタイリスト」で、イタリアに買い出しに行くと、必ず珍しいものを仕入れてきてくれるんです。わたしは彼の店でイヤと言うほどいろんなものを買っていますから、こちらの趣味は熟知しています。しかもたまたま靴のサイズまで一緒なんですよ。

立木: 店主としては多分、ニコニコしながら内心ではうるさい客に辟易してるんじゃないの。心から同情するね。

シマジ: そうそう、今日、是非お訊きしようと思っていた質問を思い出しました。産業革命まではすべての服は、ハンドメイドというか、手縫いだったんですよね。

中野: そうですよ。

シマジ: いまでは誰でも簡単に既製服を買えるけど、その昔は貴族から庶民までどんな服でも手縫いだったんですよね。

中野: わたしの弟子の一人の長谷川彰良くんが、ついこの間、渋谷と名古屋で100年以上も前の貴重な服を分解する「半・分解展」というのをやっていたんですが、そのころの服を分解すると、なかから芯地代わりに使った当時の新聞紙が出てくることがあるんですって。そうやって服の立体感を出していたんでしょう。当時のもののほうがむしろいろんな工夫がしてあって、服としては面白いと、長谷川くんも言ってました。

ボブ: なかから出てきた19世紀の新聞記事を読めば、当時の世相がリアルに分かって面白そうですね。

シマジ: それはロマンチックな話ですね。ところで中野先生、いま若者に人気のあるファッションっていうのはどうなっているんですか?

中野: そうですね。日本は完全に二極化しているんですが、注目すべきはZOZOの躍進でしょうか。創業者がユニークで、サイズ計測のためのZOZOスーツを無償配布して完全オーダーメードの服をインターネットで販売したりと、続々と新しいチャレンジをしています。それから、若い人に人気のある企業でおもしろいのは、「オールユアーズ」ですね。

ここは興味深いプロジェクトをやっていて、企画の段階から、クラウドファンディングで資金を募るんです。そこから制作の過程を、失敗も含めて全部出資者にみせて、一緒に問題点を克服して、販売まで持って行くという流れなんですね。作り手と買い手が、服へのこだわりや、完成までのストーリーを共有できる新しい仕組みで、それが若い人たちに受けています。

シマジ: それはまた斬新なビジネスモデルというか、ファッション界に起こったある種の革命ですね。

中野: 本当にそうですね。どうせ買うなら共感の持てるところに投資するという買い方をしたい人が増えているんです。客層もほとんどがミレニアルズと呼ばれる20代30代の方で、作り手もほぼ同じ世代の方ばかりです。

ボブ: 何百着を一度に作るのではなく、数量限定でやっているんでしょうね。

中野: はい。すこしぐらい高くても価値があると思えば、いまの若い人は投資します。あ、そうそう、これはいいのかどうかわからないのですが、いまは書籍でも、とても売れている本を作っている編集者や著者は、校正の段階をSNSでみせたりもするんですよ。

「いま、こういう本を作っています」といって、赤字だらけのゲラをみせて、それで「ここはどういう写真がいいと思いますか?」とか「表紙は2パターンありますけど、どっちがいいと思いますか?」ということをフォロワーに訊くわけです。

潜在読者がそこに参画して一緒に作っています、という盛り上がりを演出しておいて、発売日には熱量がピークに達して、結果、部数が伸びるという流れです。服にしても本にしても、完成品だけをみせられてもつまらないと感じる人が、最近増えている気がします

シマジ: なるほど、興味ある人が全員参加して編集者になるんですか。

中野: まあ、実際は「編集者気取り」なんですけどね(笑)。

シマジ: なんにしても、わたしには想像もつかない面白い現象です。ぜんぜん知りませんでした。

中野: すべて「参加型」へ向かっていて、より人間くささを求めて行くような印象です。でもウイスキー作りにはさすがに応用できないですよね(笑)。

ハイランドの山岳地帯の自然に育まれたシングルモルト
ダルウィニー 15年(DALWHINNIE 15 YEARS)

へザー(ヒースの花)、ハチミツ、そしてデリケートなスパイスといったスムーズかつソフト、クリーミーな味わいが特徴。15年という長めの熟成期間によりスムーズさと深みを持ったウイスキーに仕上がっています。