サラリーマンとは一味違う「マイクロ法人」という生き方をご存じか

こんな方法があったとは…

フリーエージェントという選択

「会社」は、資本主義経済の中核として私たちの人生に大きな影響を与えている。だが不思議なことに、それがいったいなんなのかはじつはよくわかっていない。だからこそ「会社は誰のものか」とか、「会社の社会的責任とはなにか」が延々と議論され、それでも結論が出ない。

だがひとつだけたしかなのは、私たちがこの奇妙な生きもの(なんといっても会社はひとなのだ)とつきあっていかなくてはならない、ということだ。そして、会社を理解するもっとも効果的な方法は、自分で会社をつくってみることだ。

 

2005年の会社法改正で、誰でも気軽に法人を所有することができるようになった。本書の企画を最初に思いついたのはその頃で、法人の大衆化時代を迎え、会社という”もうひとつの人格”についての実用的な本があれば便利だと思ったからだ。それから書きはじめるまで3年以上かかったのは、そうはいっても会計や税務・ファイナンスの専門家はたくさんいるのだから、私のような門外漢の出番はない、と考えていたからだ。

ところが書店には、ビジネスマン向けに書かれたコーポレートガバナンスやM&Aの入門書、中小企業の経営者を対象にした会計やファイナンスの本は並んでいても、マイクロ法人の実践的なガイドブックはいつまで待っても登場しなかった(そもそもマイクロ法人というコンセプト自体が日本には存在しない)。

そのうちに経済格差や非正規雇用が大きな社会問題となり、それについての論争が交わされるようになった。そのほとんどが、「落ちこぼれ=非正規社員をいかに有用なサラリーマン=正社員にするか」という視点で語られていた。私はその議論に強い違和感があって、「正社員じゃなくてもいいじゃないか」とずっと思っていた。

誰もが正社員に憧れるのは、日本の社会ではサラリーマン以外の生き方が圧倒的に不利だと信じられているからだ。だから、これをたんなる精神論(脱サラすれば自由になれる)で批判してもなんの意味もない。会社に雇われない自由な生き方の可能性が、実践的な技術とともに提示されなくてはならないのだ。

本書では、マイクロ法人をキーワードに、会計・税務・ファイナンスの基礎知識をわかりやすく説明し、そこからどのような利益が生じるのかを具体的に示していく。それによって、労働基準法で守られ、雇用契約でがんじがらめに縛られたサラリーマンに比べ、複数の人格を使い分けられるフリーエージェントがけっして不利な選択ではないことがわかるだろう。