「踊る阿呆」が市長に勝った…阿波おどり「圧倒の現場レポート」

止めにきた徳島市幹部も、音を上げた
小川 匡則 プロフィール

阿波おどりを「取り返した」瞬間

阿波おどり期間中は、桟敷が設けられた4箇所の有料演舞場のほかに、無料演舞場や路上など、徳島市中心部のあちこちで踊りが繰り広げられる。

しかし、「例年、演舞場付近の道路は踊り子と見物人でごった返すが、今年は普通に歩けるくらいの人混みで、例年と比べて少なくとも3割は少ないのではないか」(地元住民)という声も聞かれるなど、皆一様に「今年は人が少ない」とこぼしている。

こうした状況を招いても、遠藤市長に反省はないようだ。12日、市役所前演舞場で行われた開幕式でも、市長の挨拶には一言も反省や謝罪の言葉がなかった。それどころか、「たくさんの人が来てくれています。みなさん『サクラ』ですか?」などと笑えない冗談を飛ばし、会場を凍りつかせていた。

 

阿波おどりでは、有名連以外にも多数の企業連や、有志からなる数え切れないほどの「にわか連」が、そこが有料演舞場かどうかなど関係なく、街のあちこちでそれぞれの踊りを楽しんでいる。

有名連の巧みで迫力ある踊りはもちろん素晴らしいが、有名連の所属でなくとも、心の底から楽しんで踊っている人たちの姿もまた素晴らしい。

踊る阿呆に見る阿呆――あくまでも阿波おどりの主役は、踊り子たち、そして観客たちなのだ。

人々の意見を聞かず、「改革」と称する一存で様々な変更を強行し、踊り子の活躍の場を奪ったうえ、反省の色もない徳島市と遠藤市長の姿勢には呆れるばかりだ。

そうした状況下で、振興協会と踊り子主導での自発的な総おどりの成功は、踊り子たちが権力から「阿波おどりを取り返した」瞬間であった、と言っても過言ではない。

阿波おどりは今、大きな転換期を迎えている。