無謀な太平洋戦争…開戦時、「日米経済格差」はこんなに拡がっていた

それでも日本が戦いを挑んだ理由
加谷 珪一 プロフィール

米国の経済体力は日本の7~10倍

真珠湾攻撃が行われる前年の1940年における日本の名目GDPは368億円、米国の名目GDPは1014億ドルだった。では当時の為替レートはどのくらいだったのだろうか。

歴史の教科書にも書いてある通り、第1次世界大戦をきっかけに金本位制は一時、停止されたが、戦後復興が進んできたことから、各国は金本位制に復帰。ところが世界恐慌をきっかけに、各国は再び金本位制をやめてしまった。

金本位制下では1ドル=2円程度の為替レートが維持されていたが、日本は実質的に円安が進んでいたにもかかわらず、以前のレートで金本位制に復帰してしまったため、金が大量流出。国内は激しいデフレに陥り、経済は大混乱となった。しかもタイミングが悪いことに世界恐慌が重なり、日本経済は壊滅的な打撃を受け、ボロボロの状態で管理通貨制度に移行している。

 

この間、為替は半分程度まで下落し1ドル=4円になった。名目上はこの為替レートが終戦まで続くので、これを適用すると日本のGDPは92億ドルということになる。米国のGDPは1014億ドルなのでGDPの差は約11倍である。

完全に市場経済が機能している状況であれば、ドルベースで比較したGDPはそのまま経済体力差と考えて差し支えないだろう。だが、当時の日本は世界の金融市場に背を向けた状況であり、この為替レートが正しいものなのか疑問が残る。そこで、現在の物価を基準に当時の実質GDPを計算してみることにした。

2000年の物価を基準にした場合、1940年時点における米国の実質GDPは1兆340億ドル、日本のドルベースの実質GDPは1488億ドルとなり、GDPの差は約7倍と計算される。日本と米国の鉄鋼の生産能力の差は約12倍、自動車の生産台数の差は100倍以上、発電量の差は約5倍という状況であった。

一連のデータを総合すると、日本と米国では、7倍から10倍の体力差があったと考えてよいだろう。