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アリババのジャック・マー会長が唱える「新小売り戦略」の正体

北京「盒馬鮮生」潜入レポート

アリババの「ニュー・リテール」

先週、北京に行ってきた。今年3度目の訪中である。今回は、その報告第1弾をお届けする。テーマは、アリババの馬雲(ジャック・マー)会長が最近唱えている「新零售」(シンリンショウ)。日本語に直すと、「新小売り」もしくは「ニュー・リテール」である。

いまから8年前、中国で馬雲会長に話を聞いた時、ビジネスの要諦について、こう述べた。

「ビジネスなんて、実は簡単なことさ。客が望んでいることを、かなえてあげればいいんだよ。ただそれだけだ」

この言葉を自ら体現するように、アリババが「新零售」を唱えて、中国国内で「スーパーマーケット革命」を起こしている。2016年1月に上海で1号店がオープンし、現在、中国13都市67店舗にまで広がった「盒馬鮮生」(フーマーシエンシェン=フレッシュ・フーマー)である。いまや日本の官僚や経営者たちが、「中国で最も視察したがるスポット」と言われる。

いったいどんなスーパーなのか。北京13店舗の中で、最も売り上げを伸ばしている店の一つという「小営店」を、日曜日の昼時に訪れてみた。

北京CBD(中央商業地区)の中心地・国際貿易センター駅から、地下鉄10号線に乗って11駅目の北土城で8号線に乗り換え、さらに5駅行った小営口という小さな駅で下車。D出口を上がり、40度近い炎天下で西方に歩くこと10分近く。4階建ての悦茂ショッピングモールが出現した。

思えば、市の中心地・天安門広場からは、約15㎞も北上した郊外だ。この地域を訪れたのは3年ぶりだったが、景色は一変していた。

3年前は、いくつかの国有企業のビルが建つ以外は、貧相なボロアパートが点在している界隈だったが、いまや新築のマンション群が立ち並んでいた。「十一学校竜樾実験中学」というエリート高校が、2016年9月に開校したため、周辺の地価がにわかに5倍以上にハネ上がり、現在は1㎡あたり10万元(約160万円)を超えるのだという。これは、北京で最も高い市中心部と同レベルだ。それでも、子育てに熱心な若いエリート層が、続々と越してくるエリアとなっている。

ちょうどその実験中学の裏手に、昨年12月24日にオープンしたのが、悦茂ショッピングモールだった。周囲には、100台以上の車が停まっていた。日米独メーカーの白の新車が多いが、中国産の電気自動車も混じっている。それらはナンバープレートが緑色なので、すぐに判別がつく。

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