『PRODUCE 48』で露呈した、日韓アイドルの決定的な違い

同調のみでは突出した才能は生まれない
松谷 創一郎 プロフィール

日本勢は苦戦した腰振りダンス

モチベーションの違いもあるが、日韓練習生の基礎的な技術力の差もグループワークの障害となった。とくにそれが顕著となったのはダンスだ。メンバー同士のシンクロ以前に、腰を使うK-POPの振り付けに日本勢は苦戦した。

このとき白間美瑠(NMB48)は、そのダンスに対し「韓国の振りって腰をすごく使って、女性しか持っていない武器を最大限に活かしている」と話している。

洋楽の文脈に沿ったK-POPの振り付けは、たしかに腰を中心に全身を使った動きを見せるものが多い。ただ、こちらのほうがダンスとしては主流で、実際は48グループの振り付けがあまり下半身を使わないだけだ。

おそらくそれは、48グループが大所帯であることと関係している。人数が多すぎるので完全にシンクロしたダンスを見せることは難しく、しかも彼女たちにはふだんトレーナーもいない。そうした条件で求められるダンスは、腕を使って動きを大きく見せる難易度が低いものなのだろう。

たとえば、ランク分け審査のときに白間を含むNMB48メンバーが披露した「ワロタピーポー」などは、パラパラのように腕を使った決めポーズが多いものだ(これはこれでトレーナーには好評だったが)。

これはわかりやすい例だが、48グループでは移動しながら腕ばかりを動かすシンプルなダンスが多い。下半身の動きも左右前後に動かすのではなく、ジャンプなど上下させるものが目立つ。

こうした方向性のひとつの成功例が、AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」だったのだろう。

一般の人による「踊ってみた動画」の投稿で大ヒットしたが、つまりそれはプロでなくても簡単だったということだ。「素人でもできるダンス」ではあっても、K-POPが魅せる「プロだからこそ可能なダンス」ではなかったのである。

だが、そんな48グループがK-POPの難易度の高いダンスにチャレンジした。ミュージカルで活躍していた高橋朱里(AKB48)でさえグループでひとりだけ習得が遅れ、後藤萌咲(同)も他の韓国練習生たちがみんなで教えていたほどだ。

 

松井珠理奈が負けた瞬間

だが、このバトルによって48グループの面々に徐々に変化が訪れる。着実に力をつけ始める者が現れ始めたのだ。

その代表的な存在が矢吹奈子(HKT48)だ。「Love Wisper」(GFRIEND)を課題とする第2組になった彼女は、歌唱力とダンスともに見事なパフォーマンスを見せた。また韓国語の曲でありながら、その発音も非常に綺麗なものだった。

結果、矢吹はひとりで330票を獲得。対する第1組の総得票数は334だったので、ひとりでほぼ同等の評価をされた。当然、グループも圧勝。

この330票とは、グループバトルに臨んだ92人のなかでも最多であり、次点は198票だったので群を抜いていた。矢吹はこの後も評価が高まっていき、デビュー圏内を常に維持することとなる。

ほかにも日本勢でしっかり成長を見せたのは、後藤萌咲や白間美瑠、村瀬紗英(NMB48)、下尾みう(AKB48)などだった。なかでも後藤は、ダンスと歌で苦労したものの結果的には172票を獲得し、グループを勝利へと導いた。

下尾みうもこのグループバトルで大健闘した。まだ17歳で、過去5回のAKB選抜総選挙ではすべて圏外だった彼女は、「Peek-A-Boo」(Red Velvet)の対決で勝利し、この後もさらに順位を上げていく。

しかも、この対戦では相手グループに松井珠理奈がいたが、彼女を6票も上回って勝った。AKB総選挙1位の松井が、ずっと圏外だった17歳に負けてしまったのである。48グループの代表としての面目は丸つぶれだ。