『PRODUCE 48』で露呈した、日韓アイドルの決定的な違い

同調のみでは突出した才能は生まれない
松谷 創一郎 プロフィール

視聴者投票ですべて決まる

番組は、エピソード3からいよいよ本格的なサバイバルに入る。

ここから段階的にメンバーが絞られていく。まず、93人中35人(38%)が足切りされる。その判断は、「国民プロデューサー」と呼ばれる視聴者からの投票に委ねられる。

判断材料はグループバトルだ。

5~6人のグループが16組つくられ、2組ずつが同じ曲をライブ会場で披露し対決する。グループの勝敗は、会場の観客による練習生個人への投票数の和で決まる(人数が異なる場合は平均値で勝負する)。

そして勝ったグループには、メンバーひとりに1000票ずつベネフィットが与えられる。これらはそのまま視聴者投票にも加えられる仕組みだ。

こうした対決のルールは、番組を観ていても少々複雑に感じる。だがそれは、テレビ番組としての娯楽性と、競争の公平性を天秤にかけてのものだ。

 

もちろん視聴者による投票は、番組内容によって大きく左右される。フォーカスをあてられる時間に個人差が出るからだ。

また、良いところばかりがピックアップされるわけでもない。そうした構成は「悪魔の編集」とも呼ばれ、この『PRODUCE』シリーズでは常に問題視されている。

だが、96人全員を均等に扱うことは不可能であり、こうしたバイアスは避けられないことでもある。そのフォローとして、M-NETはかなり多くの動画をネットで公開している。グループバトルでは、ステージでパフォーマンスをおこなった92人の練習生をひとりずつ撮影し、それらはすべてYouTubeで観ることができる。視聴者はこれらも判断材料にできるのだ。

ここでのポイントは、あくまでも最終的な判断を視聴者に委ねていることだ。民意をしっかり反映させる、つまり民主的であろうとする姿勢が強くうかがえる。

これは、他の韓国の音楽バトル番組『私は歌手だ』でも同じだ。視聴者を「国民プロデューサー」と呼び、投票数をしっかり明示するのも、民主的な手続きを徹底しようとする姿勢からなる。これは、市民運動によって民主化を勝ち取った韓国の歴史に根ざしたものだ。

この点は、日本のオーディション番組とは明確に異なる。『スター誕生!』や『いかすバンド天国』など、ほとんどの番組の審査員は業界人だった。現在テレビ朝日で放送されている『ラストアイドル』もそうだ。

しかもこの番組では、4人の審査員からひとりがランダムに選ばれて勝敗が決められる。たとえ審査員全員の判断が3-1や2-2と分かれていても、結果は運しだいだ。その不条理でしかない残酷さそのものも番組のコンテンツとされている。

この番組は秋元康の企画によるものだが、ひとり一票の原則を大幅に無視したAKB総選挙と同様に、民主的な手続きを期待する様子がまったく見られない。そこからは、打ち破れていく学生運動を見て育った秋元康のノンポリ的な姿勢も読み取れる。それは、新人類世代らしい“非政治的な政治性”とも言い換えられるスタンスなのだろう。