# 働き方

88%の企業が「わが社の働き方改革は失敗」と答える、その根本原因

では、12%は何をしているのか
越川 慎司 プロフィール

その制度、社員に失笑されていますよ

働き方改革に失敗している企業に共通するものはなんなのか。「クロスリバー」は、徹底的にその原因を調べました。

その原因の第一は、失敗する企業は「働き方改革」そのものを目的としていることにある、と分かりました。「働き方改革」は手段であるにもかかわらず、本来の目的やゴールが設定されていないのです。

目的もなくただ散歩をしていても、富士山の頂上に着くことはありません。富士山に登頂するという明確な目的をセットして、しっかり準備をして一歩ずつ登っていくことで、初めて富士登山は成功するのです。

 

登山服を買って、地図を見ながら計画を立て……当日は朝早起きて登りますよね。この場合、登山服を買うのは富士山登頂の手段で、目標ではありません。朝早く起きることも目的ではなく、あくまで、山を登りきるための「手段」でしかありません。

ところが、現実の企業では「登山服を買った。早起きした。よし、それでOK」と思っているところが少なくなかったのです。

働き方改革を目的にしてしまう企業は、まず在宅勤務制度や育児介護制度などの人事制度を整え、最新のITを導入します。しかし、1年経ってもその利用率は10%未満でまったく浸透していません。これが「失敗企業」の典型でしょう。

もちろんこれも悪いとは言いませんが、制度やITを整えて満足してしまう……そこが問題なのです。社員も「こういう制度ができたんだ」と思うだけで終わり。逆に社員の満足度や働きがいが低下してしまうことすらあります。これでは「働き方改革は成功しています」とは言えません。

結論から言えば、社員に「腹落ち感」がないと、制度もITも活用されません。なぜ働き方改革をしないといけないのか、社員自身にとってどのようなメリットがあるのか、自分が幸せになることとどのように関係があるのか、を社員が納得しないと、自発的に行動をすることはありません。

ところが、多くの企業はこうした現場のニーズをくみ取らずに、思い込みと杓子定規で、手段としての制度や設備の導入を、目的であるかのように取り組む。結果、社員が引いてしまうのです。

まず、会社の成長と社員の幸せが目的であることを明示し、その実現のための手段が「働き方改革」であることを示す。それも、トップダウンだけでなく、現場の意見を聞きながらボトムアップで進めていかないといけません。

こうした「腹落ち感」がないことで失敗した例が、プレミアムフライデーでしょう。

経産省としては消費喚起を目的に設計したキャンペーンだったのですが、時流の「働き方改革」と強引に連動させました。金曜の午後3時に一斉に「帰れ」といわれても、なかなか帰れるものではないですし、そもそも消費喚起は働く個人にとって関係ないことです。

なおさら、一番の繁忙期でもある年度末の最終営業日であった3月30日に「早く帰ろう」と言われて迷惑だと思った企業も社員も多かったでしょう。一律にこうしなさいと命じても、「腹落ち感」がなければ動かないのです。

これについて、失笑してもいられません。多くの企業が、それと同じ「働き方改革の過ち」を犯しているのですから。