「目が小さい」と言われ続けた梅沢富美男さんに、恩人がかけた言葉

有名人が明かす「私を助けてくれた人」
週刊現代 プロフィール

欽ちゃんの言葉

このまま役者を続けていても芽は出ない、そう考えた梅沢氏は、応援してくれた石ノ森氏に真っ先にそのことを伝えた。

「先生に『じつは役者を辞めようと思っています』と言いました。『なぜ辞めるんだ』と聞かれましたが、細かいことを説明してもわかってもらえないと思い、『役者としての壁を感じたからです』と答えました。

すると『馬鹿野郎!生意気言うな、お前に壁なんかねぇ!』と怒鳴られました。

さらに先生は『壁っていうのは売れた人間が使う言葉だ。俺が仮面ライダーで売れて、みんなに名前を知ってもらって、それで次の作品が認めてもらえなかったらそれが壁だ。

お前が役者を辞めようとどうしようと日本中の人は知っちゃいない。まだお前に壁はない。お前は必ず売れる。だから今は頑張れ』。

目からうろこが落ちる思いでした。行けるところまで行ってみよう、みんなに認めてもらって本当の壁を体験したい。そう思いとどまりました」

 

その後、石ノ森氏が好きでよく聞いていた、ちあきなおみの『矢切の渡し』を舞台で踊ってみてはどうかと梅沢氏に提案。これが女形を始めるきっかけになった。

「やがて、先生の言葉通り、僕は全国に名前を知ってもらえるようになりました。劇場も100人規模から1000人規模に。『目が小さい』という理由で落とされていたテレビや映画にも出ることができました。

顔を覚えてもらってからも、役者を辞めようと思うことはありました。でもそう思うたびに先生の言葉を思い出して、『これは本当に壁だろうか?』と考えることにしています。すると大概のことは何でもないことのように思えて、乗り越えられました」