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『西郷どん』を見ても、西郷隆盛のどこがスゴいかよくわからない

なぜ偉業を成し遂げられたのか

本当は奄美で何をしたか

勝海舟や坂本龍馬など、明治維新の立て役者がぞくぞくと登場しはじめたNHK大河ドラマ『西郷どん』。

第28話(7月29日放送)では、鈴木亮平演じる西郷吉之助(のちの隆盛)が勝(遠藤憲一)や坂本(小栗旬)と出会ったシーンが、豪華キャストの出演もあって大きな反響を呼んだ。

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鈴木をはじめ、各役者の演技には賞賛の声が多い。しかし、ドラマが折り返し地点を迎えても消化しきれない点が一つある。

西郷隆盛のどこがどう凄いのか、イマイチよくわからないのだ。印象に残るのは大男が涙を流して「民のため」などと叫ぶシーンばかり。失礼ながら、とりたてて頭がいいわけでも、弁が立つわけでもない。

人柄の良さは伝わってくるが、それだけで「薩長同盟」や「江戸無血開城」を成し遂げ、歴史に名を刻むことができるのか。時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野氏が言う。

「『西郷どん』は、今までにない西郷隆盛像を描こうとしています。西郷の女性関係を描くことに重点が置かれた脚本なので、幕末の群像劇を見たい人にとっては、寺田屋事件などで京が大変なことになっているときに『西郷が嫁を迎えるかどうかなんてどうでもいいよ』って感覚なのでしょう。

奄美大島に流された西郷が、大恋愛の末に島の娘・愛加那(二階堂ふみ)と結婚して子供を2人もうけているところもホームドラマ要素が強い。志士としての彼を知るには、不完全燃焼感があるのかもしれません」

 

もちろん、林真理子氏の原作では丁寧に描かれていても、ドラマの演出上、端折らなければならないことはあるだろう。史実上の西郷はどんな人間だったのだろうか。郷土史研究家の箕輪優氏は、ドラマでは描かれていない西郷の一面を語った。

「当時の書簡を読むと、ドラマでの西郷とはだいぶ異なっています。薩摩藩は奄美を260年近く植民地にしていますから、慣習的に彼も奄美の人間を見下していた。

娘たちの手の甲の刺青をバカにしたり、『もっとまともな家に住ませろ』と訴えたりしていたそうです。それを知ると、彼が単純に英雄視されていることは疑問に思います。

また、砂糖作りで生活を営む島民を見た西郷は、政府の中枢につくと砂糖を旧藩同様、鹿児島で独占するよう指示していました。結局は薩摩士族のことしか頭になかったのでしょう。

愛加那との結婚も、大恋愛の末に結ばれたこととなっていますね。たしかに、お祝い料理『三献』を食べ正式な結婚式を挙げてはいますが、実際のところ『あんご(性生活を伴う、お手伝いの娘)』に近い形で差し出されたのではないかと言われています」