日本全土に大感染『カメラを止めるな!』爆発的ヒットはこう生まれた

上田慎一郎監督インタビュー
柴 那典 プロフィール

人の現実をちょっとでも前に動かす

――先ほど思春期から映画を撮っていたという話もありましたし、プロフィールには「100年後に観てもおもしろい映画」というスローガンを書かれていますけれども。

そういう、とにかく面白いものを作ろうっていう考え方は、どのあたりからご自身の中にあったんでしょうか?

自分が映画を好きになったきっかけが思春期に観たハリウッド映画なので、そこからでしょうね。スピルバーグや王道なところから入ってるので。

映画館に行ってワクワクして、タイトルがバーン!って出てきた瞬間に「ヒャッホー!」って思ったり。メインテーマが流れ出した時の高揚感だったり。そういう映画を観る幸せから映画を好きになってるので。

「考えさせられたな……」っていう映画で好きなものもいっぱいありますけど、映画はやっぱり娯楽だと思ってるし、その娯楽は、ハリウッド映画も、この映画もですけど、フィクションで、大噓ばっかりなんですよ。

でも、それが観た人の現実を動かす力があるんだってことを思いながら作っています。

僕には今の社会を斬るような現実は描けないけれども、ワクワクするような大噓の話を作って、人の現実をちょっとでも前に動かすことならできるかもしれない。そう思って作っています。

――しかも、これが監督にとっての商業用長編映画のデビュー作であるわけですよね。よく「処女作には作家のやりたかったことの全部が詰まっている」と言われますけれど、ご自身でも自分の作家性が出たものになったと思いますか? もしくはこれがデビュー作でよかったみたいな実感ってお持ちですか?

お持ちですね(笑)

これが、デビュー作でよかったと思います。僕の今までの好きなものを全部詰め込んだような映画なんですよ。

『パルプ・フィクション』とか『運命じゃない人』みたいな映画も好きですし、『ラヂオの時間』とか『アメリカの夜』とか『蒲田行進曲』みたいなものが好きな自分もいる。

あとは『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』とか『悪魔のいけにえ』みたいな、ゾンビ、ホラー映画が好きな自分もいる。それを96分に詰め込んだ映画で。

しかもタイトルが『カメラを止めるな!』なんで、これからどんな辛いことがあっても映画監督をやめられないなと思います。

 

――この後、何があっても、プロフィールに「2018年『カメラを止めるな!』でデビュー」って書かれるわけですよね。それは、勲章でもあり、今後の監督の人生の推進力にもなる。

どんなことがあっても、この映画のタイトルがずっと背中を押してくれるんだろうなと思いますね。「カメラを止めるな!」って (笑)

――次の企画、やりたいこともすでにありますか?

今言える段階のものはまだないんですが、走っている企画はいくつかあります。ただ、幸いなことに今はまだ次の不安を感じる暇もなくて(笑)

ちょっと落ち着いて時間ができたら「うわあ、ヤバいヤバい!」ってなるかもしれないんですけど、今はその不安すらないくらい走っているし。

『カメラを止めるな!』は伸るか反るかって気持ち、60点、70点ではなく、0点か200点かって気持ちで作ったので。とにかく60点、70点のまあまあなものを作ることが一番カッコ悪いなって思うので。

これからも転び続けたいというか。転ぶ時も必要だと思いますね。失敗を恐れず、挑戦していきたいです。

映画『カメラを止めるな!』
大ヒット公開中!
©ENBUゼミナール
製作:ENBUゼミナール
配給:アスミック・エース=ENBUゼミナール