子どもに「プラスチック入り」の魚を食べさせて問題はないのか

いま世界が悩む課題
週刊現代 プロフィール

イワシやサンマに注意

海洋環境保護の研究を行う専門家グループ『GESAMP』の議長である、ピーター・カーショウ氏が解説する。

「プラスチックボトルなどは、太陽光を浴びると耐久性が下がります。弱くなったプラスチックは風や波の影響などでどんどん壊れ、(5mm以下の)小片になっていく。

このマイクロプラスチックの問題点は、小さすぎて一度海に流れ込んでしまうと、回収が困難なこと。海に流れ込み、蓄積されていく一方なのです」

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海には膨大な量の微細なプラスチックが漂っている。そうしたプラスチックを、プランクトンを通して、あるいは直接、魚は体内に取り込んでいる。

その魚を食べている我々、そして特に影響を受けやすい子どもの体は大丈夫なのだろうか。マイクロプラスチックによる海洋汚染の研究を行っている、東京農工大学の高田秀重教授が言う。

「マイクロプラスチックは微細なため、人間の体の消化管のどこかで詰まったり、体内に溜まるということはありません。体外に排出されるので、その点の物理的な問題はない。

しかし、プラスチックには元々、性能を維持するために添加剤が入っています。さらに、プラスチックが海に漂っている間に有害な化学物質が付着するケースもあります。

私たちがこれまで海鳥を使って行った実験では、有害な化学物質を含んだマイクロプラスチックを海鳥が摂取すると、脂肪や肝臓に化学物質が移動し、溜まっていくことが確認されています」

 

海に浮遊しているプラスチックの中には強化プラスチックのように微細な形状になりにくいものもある。

この強化プラスチックから流れ出た成分が、マイクロプラスチックに付着することで、より毒性が強まる懸念もある。薬学博士の佐二木順子氏が話す。

「ポリカーボネートという強化プラスチックの原料に、ビスフェノールAという物質があります。これは、動物の脳・神経系に悪影響を与えるという実験結果から、人体への影響が懸念されています。

さらに乳がんを始めとするがんの発生率との関連や、男性で言えば精子の数が減少する、生殖機能が低下するといった男性不妊との関連を示唆する報告もあります。

このビスフェノールAは、真水より海水のほうが、溶け出しやすい。ビスフェノールAを吸着したマイクロプラスチックを魚が食べ、体内に蓄積している可能性はあります。

これらの有害物質は、魚の内臓に溜まりやすいため、魚を丸ごと食べてしまうと、人体に移行し影響を及ぼす可能性が考えられます。魚の食べ方にも注意を払う必要があるでしょう」