石破茂はこのまま永田町から追放されるのかもしれない

残酷だが、これが政界の現実
週刊現代 プロフィール

石破派は草刈り場に

そこで焦点は冒頭の青木幹雄になる。7月25日、青木は参院幹事長の吉田博美に「石破で行け」と指示した。約1週間後の31日に青木と会った派閥会長の竹下も、「安倍に歯止めを掛けるためにも、石破に闘わせたほうがいい」と命じられている。

「派閥内でも安倍シンパの茂木敏充や山口泰明は安倍にまわるが、拘束はしない。だが参議院のみならず竹下派の石破支持は堅い」(竹下派議員)

むろん、青木とて、現段階で石破が勝つとは本気では思っていない。

「青木さんは『本格的に動くのは、総裁選が終わってからだ』と言っています。来年の参院選では自民党の議席減は確実で、野党が統一候補を立ててきたら勝てない。

安倍が3選されても、『支持率が落ちれば、お前を替えるよ』というブラフをかけ続け、参議院竹下派の干し上げを牽制しているわけです」(自民党幹部)

 

ドンの動きは老獪だ。青木幹雄は岸田派のドン・古賀誠や、石原派のドン・山崎拓とも頻繁に接触している。竹下派に加えて、2派の一部が加われば、勢力図は変わる。

何より、石破に近い小泉進次郎が動くならば、可能性は出る。石破に進次郎のことを訊ねた。

――小泉進次郎さんとは政策的にも協調できるのではないか?

「当選1回の若手だった6年前の進次郎さんと、今の進次郎さんでは立場も違う。私が幹事長時代には青年局長として、どんな離島にも選挙応援に入ってくれた。

そういう積み重ねがあり、当選4回の筆頭副幹事長、中堅幹部になられた。その彼が今の自民党をどう思うのかということでしょう」

進次郎からの支持を待ちわびる声にも聞こえたが、その真意はわからなかった。小泉進次郎は、8月上旬からインドに外遊する。ここで「石破支持」を打ち出せば、状況は一気に変わる。安倍も、「怖いのは進次郎だな」と周囲に語っている。

だが、いま、本気で動きはじめている石破を、安倍は絶対に許さない。それは、安倍自身が衰え始めている自分の力を自覚しているからでもある。政権幹部はこう語る。

「総裁選後、石破についた連中は徹底的に干される。重要ポストは与えない、参議院ならば来年の選挙の第1次公認から外す、といったことだよ。人事は総裁選の論功行賞をもとに行う。そうしないと、安倍さん自身も求心力を保てないだろう」

Photo by iStock

石破の政治生命は、総裁選で負けるにしても『どれだけの差で負けるか』にかかっている。

地方票で8割をとるようなことがあれば、安倍にダメージを与え、「次の次」の有資格者だ。だが、地方票でも大きく水をあけられてしまえば――。

ある細田派議員は、「石破は安倍さんに『丸焼き』にされるだろう」と言う。

「総裁選後、石破の無役は当然だが、石破派そのものを徹底的に草刈り場にするね。

プライドの高い政策通が多いから、彼らを部会などでも若手議員の下につけて『冷遇』する。『石破派なんかにいてもどうにもならない、こっちに来い』と引き抜きを行えば、石破派は一人ずつ奪われ、派閥としての体をなさなくなる。

来年の参院選では石破派から新人擁立が困難になり、『石破はもう終わった人』というイメージが定着する。事実上の『永田町追放』だよ」

これが残酷な現実となるかどうか、残り1ヵ月半が見逃せない。

(文中一部敬称略)

「週刊現代」2018年8月18日・25日合併号より

関連記事