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石破茂はこのまま永田町から追放されるのかもしれない

残酷だが、これが政界の現実

波乱は起こるかもしれない。だが、このまま一騎打ちになるのだとすれば、安倍は「一強」に歯向かおうとするこの男を、完膚なきまでに潰したいと考えている。反乱者に待ち受ける代償とは何か?

「陰のドン」の余裕

8月1日午前10時、平河町・砂防会館。黒のクラウンから姿を見せた男の表情には、余裕が漂う。

――週刊現代ですが、石破さんへの支持は?

「えっ?いや、なんにも、なんにもそういうことはね……」

かすかに口元をほころばせた男は、総裁選に向け、本格的に動き出した。

青木幹雄、84歳。政界引退後もなお、毎週水曜日、砂防会館別館2階にある事務所への「出勤」を続けている。

麻雀卓のおかれた部屋で、自民党参院幹事長の吉田博美を通じて「指示」を出す。いわずと知れた、竹下派と自民党参議院の〝陰のドン〟である。

'07年の参議院選挙で歴史的大敗を喫し、参議院議長の座を逃した。時は第1次安倍政権。自分の顔に泥を塗った安倍を、ドンは信用していない。

青木は、参議院のみならず竹下派全体で、石破支持に動こうとしている。石破にとって、今は青木の支援だけが頼りだ。

 

ちょうど同じ時間、本誌記者は、石破茂と議員会館で向き合っていた。

――安倍総理の3選が有力で、石破さんは劣勢だと報じられている。

「そうですね。でも自分を振り返っても、中選挙区時代は『劣勢』とか『落選』とさんざん言われていた。'90年の選挙は消費税の是非を問う総選挙でしたが、私は『消費税は絶対に必要だ』と言って出馬して、落選確実だと言われました。

でもトップ当選だった。選挙は、自分で努力しなきゃ駄目ですし、最後の最後までわからないんですよ」

――安倍総理の多数派工作を前に、石破さんだって、安倍さんに歯向かえば「干される」でしょう。

「『干してやる』とか『今ごろ遅い』とか、官邸や自民党の主流派幹部が言っているという。

私が知っている自民党は、同志に対してそんなことを決して言いませんでした。それじゃまるでパワハラです。選挙民が選んだ国会議員に対して、あまりにも傲慢で不遜だと思う」

――安倍政権に問題があると思う議員は多いが、みんな怖がっている。

「やはりみんな選挙区の期待があるから、取り立ててもらいたいでしょうし、選挙でも比例の上位に入りたいと思う。不遇を恐れれば萎縮するでしょう。自由闊達に、勇気をもって議論する風潮が、失われつつあると感じています」

石破の言うとおり、安倍はあの手この手で、石破包囲網を作り上げようとしている。安倍は側近議員にこう話している。

「石破が総裁選で3割以上の票を取ることは、なんとしても阻止したいんだ。8割から9割を自分がとって、二度と石破が立ち上がれないようにする。小泉(純一郎)さん流に言えば、『石破をぶっ潰す』だよ!」