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家を建てる前に知りたい「いつ、だれに、いくら払うか」お金のリアル

一級建築士が教えるお金のことすべて
「いつか自分の家を建てたい!」という夢は、誰もが一度は見たことがあるだろう。そんなときに立ちはだかるのが「お金」の問題だ。ローンの準備はどうすればいいのか? 自己資金はどのくらい用意しておけばいいのか? いつ、誰に、どれくらいの金額を払うことになるのか?『家を建てたくなったら』の著者で、一級建築士の丹羽修氏がやさしく解説する――

銀行への相談は早いほうがいい

私は、お金の専門家ではないし、家づくりのお金については、住宅ローンだけで何冊も本が出ているくらい複雑です。ですので、ここでは建築家としての経験からアドバイスできる、お金まわりの話をしていきたいと思います。

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打ち合わせの最初の時期に、「銀行にはまずは相談だけでも行ってくださいね。資金については、なるべく早めに動いてください」とお話ししています。

ほとんどの人がローンを組んで家を建てます。資金調達がうまくいかなければ、当然計画もがらりと変わってしまいます。

以前、こんなことがありました。その建て主さんとは3ヵ月ほどずっと打ち合わせをしてきて、基本設計も終了。実施設計に入る段階になって、予定の金額が用意できないことがわかって、結局家づくりは中止になってしまいました。非常に切ない話ですが、夢があっても、お金を貸してもらえなければ家は建ちません。

 

注文住宅は、よく資金繰りが面倒だといわれます。

建売住宅の場合、土地と建物を一括して購入するため、必要な資金を住宅ローンでまとめて借りることができます。一方、注文住宅の場合は、土地と建物で住宅ローンの融資が下りる時期が異なります。

土地は売買契約が成立して決済がおこなわれるとき、建物は引き渡し時です。つまり、完成してからでないと建物の融資は受けられないのです。

しかし、建物が完成するまでには時間がかかります。そのため、設計料や工事費は分割して支払う決まりになっています。よって建物のローンが下りる前に、ある程度のまとまった資金が必要になります。

だからこそ、いつ、どのくらい資金が必要になるかを見極めて、つなぎ融資をしてくれる金融機関に相談に行くなど、早めにローンの準備をしておくことが大切だと思います。

専門家ぶってこんなアドバイスをしていますが、かくいう私も、自分が家を建てるときにとても苦い経験をしました。

革職人の双子の兄と二世帯住宅を建てようと計画して、図面もある程度できたころ、銀行に相談に行きました。親の代から付き合っている地元の銀行だし大丈夫だろう……なんて甘く考えていたら、しばらく連絡がありません。電話してみると、

「丹羽さんに貸せるお金は70万円くらいです」

はっきり言われてしまい、絶句……。家づくりが一度遠のいてしまいました。

結局は、住宅部分は自己資金、事務所部分は事業用ローンとして融資を受けましたが、ローン申請のやりとりで2年ほど家づくりが遅れてしまったのです。