「顧問」の役割は今、大きく変わっています。従来の顧問のイメージを持っている人にとっては、セカンドライフは顧問として働こうと呼びかけられても、ピンとこないかもしれません。
従来型の顧問は、メガバンクの元頭取が自動的に顧問になることが通例化しているように、栄誉職としての意味合いが強く、大企業で役員を務めた人物が退任して同じ企業の顧問となったり、省庁の高級官僚が天下りで就くケースがメインでした。
あるいは、上場企業の元役員を、取引先の企業が顧問として迎え入れることもありました。そうすることで関係をより強固なものにしたり、当人の持つ人脈を紹介してもらえるといったメリットがあったのです。
迎え入れた企業にとって顧問は「顔役」であり、その企業が必要としているのは、顧問の「働き」よりも彼の前職の会社名や役職、そして人脈です。そこに多大な報酬が支払われる。それが従来の顧問の一般的なイメージでした。
ある意味では楽なポジションとも言えますが、そもそもこのようなタイプの顧問になれるのは官僚や一流企業のほんの一握りの人物です。
一方、ここ数年で広がっている新しい顧問は、単なる「顔役」ではなく、企業の問題解決にあたるエキスパートです。
従来型の顧問と区別して、実務顧問とも呼ばれることもあります。
ちなみに海外にもこの実務顧問に近い職業があります。「インディペンデント・コントラクター(Independent Contractor)」という肩書で呼ばれ、一般には「独立した請負人」「独立業務請負人」と訳されます。
彼らはどこの企業にも属さず、これまで培ってきた経験や専門性を活かし、個人として企業と業務単位で契約し、仕事をしています。複数の企業と契約を結んで「かけもち」をする人も少なくありません。
現在、アメリカのインディペンデント・コントラクターは、ホワイトカラーが独立する手段として一般的になっており、さまざまな業界で活躍しています。すでに1000万人近い人がインディペンデント・コントラクターとして収入を得ていると言われています(米国MBO partners・2017年調べ)。
自分のキャリアを武器に、就職でも起業でもない働き方をする。これこそが新しい顧問のイメージです。新しい顧問に求められているのは、高いスキルを持ちビジネスの現場を熟知していることなのです。