頑張らない、自分の頭で考えないのが「真に生産性の高い働き方」だ

嫌な仕事もローカロリーでこなすコツ
大竹 慎太郎, けんすう プロフィール

やる気もモチベーションもいらない

大竹:じゃあ、けんすう君が毎日コツコツと仕事を続けるためにやっている習慣は何かありますか?

けんすう:それでいうと、意志の力やモチベーションに頼らず、ともかく無感情に会社に出社して、無感情に最初の仕事に取りかかることですね。

大竹:無感情に(笑)

無表情に…

けんすう:東大に池谷裕二さんという脳研究者の方がいらっしゃるんですが、「やる気というものは先に存在しているものではなくて、行動すれば自ずと出てくるものである」といったことをおっしゃっていて。確かにそうだなと。

「やろうかな? やめとこうかな?」って、行動する前にあれこれ考えているうちはなかなか行動に移せません。一方、一度行動に移してしまえば多くのことは惰性でできるようになっていくものだなっていう実感はあったので、その説にすごく納得しました。

大竹:なるほど。僕も本の中で読者の人に行動を促すパートで、「意志の力に頼るな」と書いているんですが、脳科学的にも正しかったと(笑)。

 

けんすう:成果を上げている人の行動ってだいたい共通していますよね。なので、何かの行動をする際は、「気合い入れてやるぞ!」とか「モチベーション上げてテンション高くやるぞ!」とかって思う前に、もうやり始めるっていうことを習慣にしています。

無感情にやり始めたら、その後はそのやり始めたことに対して自然とやる気が出てくるので、多くの場合その行動を完遂できるようになります。そうすると、テンションを上げる必要もモチベーションを高める必要もなくなっていくというわけです。

大竹:ともかくじゃあ、「出社したくないな―」とか「この仕事やりたくないな―」とか思う“以前に”、ただ無感情に「(出社するために)家を出て」、会社にたどり着いたら「一個目の仕事にただ取りかかる」というわけだ。それで「(一個目の仕事が終わったら)ただ淡々と二個目の仕事に取りかかる……」と。

けんすう:結局、仕事の生産性とはなにか、といえば、「どのぐらい無意識の状態で淡々とやれる仕事の幅を増やせるかどうか」だと思うのですよね。

大竹:ほー。

けんすう:それを逆から見れば、そうやって、何も考えずにやれる仕事を着々と終わらせ、それによって生じる余力において、「“最終的にはどうしても考えなければやれない仕事”に向き合う時間を増やす」ということです。本当に大切な仕事や最も稼ぎを生み出している仕事っていうのは実は、「無意識ではできない仕事」「最終的には自分の頭で考えなければできない仕事」のほうです。

結局、最も効率的に働くとは、そういった「最終的には自分で考えないとやれない仕事」に充てる時間をどれだけ増やせるかにかかっている、ということになるのではないかと。

自分の頭で考えない

大竹:なるほどなー。だから、「どうやったら忙しくなくなるのか?」を考えることはすごく重要なことであると?

けんすう:それで、そういう「どうやったら忙しくなくなるのか?」とか「仕事を早く終える方法はなにか?」みたいなこと以外にも、何かの解決策を考える時にはいつも意識しているのが、「自分の頭で考えない」ということです。

大竹:自分の頭で考えない……。「頑張らない」に続く第二のポリシー(笑)

けんすう:IT業界では「車輪の再発明」という言葉があります。すでに誰かが作っている車輪みたいなものを、一生懸命自分の手で生み出すようなことをやることを指します。車輪のようにすでにすでに他の人が生み出したものをもう一度発明するのは、無駄ですよね。学習目的とかでない限り、車輪の再発明は避けるべきです。

大竹:はいはいはい。

けんすう:だから大竹さんの本は『起業3年目までの教科書』というタイトルになっていますけど、教科書みたいなものを書いている人というのはそもそもにして、教科書を書く以前にありとあらゆる失敗を経ているわけですよね。で、だいたい先人たちというものは、ありとあらゆる分野で、ほぼ同じようなところでつまずいているわけです。

その失敗を経て、解決策として生み出されたものが教科書とかマニュアル本には書いてあるわけですから、普通に教科書とかマニュアル本を読んで実践すれば、多くの人が失敗する部分は普通に避けて通れるようになっているという話で。それが自分の頭で考えないということです。