戦争で片足を奪われても「政府の謝罪も補償もナシ」という日本の現実

戦後73年、残された時間は少ない
大前 治 プロフィール

諸外国では、軍人・民間人の区別はない

このような状況は日本に特有のものだろうか。欧米の状況をみてみよう。

ドイツでは1950年に制定された「戦争犠牲者の援護に関する法律(連邦援護法)」が、軍人と民間人を区別せず、戦争の直接的影響および事後的影響により受けた損傷を補償の対象としている。

補償の内容は、医療、障害年金、遺族年金、家計援助、住宅援助などがある。これらは、国がもたらした健康被害への補償として位置づけられ、ドイツ人の権利として保障されている。

フランスでも「軍人廃疾年金及び戦争犠牲者に関する法典」が、軍人、一般市民、レジスタンス参加者を含む「全てのフランス人」の戦争被害補償を定めている。年金、医療、職業訓練、鉄道運賃割引などを受けられる。

同様にイギリスでは「1939年人身傷害(緊急措置)法」や「1943年戦争被害補償法」、アメリカでは「戦争被害補償法」や「戦争請求権法」により、いずれも軍人と一般市民の戦争被害への補償を定めている。

このように、欧米諸国では戦争被害の補償において軍人と一般市民を同様に扱っている。

国家の戦争遂行によって被害を受けたという点で、軍人とそれ以外の者を峻別する合理的理由はなく、いずれも国家に対して補償の請求権を有するという考えに基づいている。

 

戦争被害に関して、欧米では「軍民平等」が図られているのである。

それでは、日本はどうするべきか。

次回記事では、戦争中の国内政策や戦後補償の変遷をたどり、日本の戦後補償が抱える矛盾をさらに詳しくみていくことにする。

つづきはこちら:「命を捨てろ。でも補償はしない」空襲被害者に冷酷すぎる日本政府

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