戦争で片足を奪われても「政府の謝罪も補償もナシ」という日本の現実

戦後73年、残された時間は少ない
大前 治 プロフィール

同じ障害でも、元軍人だけが補償される

日本では、1950年代に始まった軍人恩給や戦傷病者援護制度によって、かつての軍人・軍属だけが戦争被害の補償を受けられる(軍属とは、軍隊組織で事務員や作業員として勤務する者である)。死亡した場合は遺族が補償を受ける。

支給額は、在職年数、在職時の俸給・階級、障害の程度によって決まる。現在までの支給額は総額60兆円にのぼる。

これに対し、一般市民は障害等級1級・2級に該当する重度障害(片腕または片足を失うなど著しい障害)に該当する場合に障害年金を受けられるだけである。死亡した場合の補償はない。

同じ障害を負っている軍人と一般市民が受け取れる額を比較してみよう(元軍人は在職期間2年の場合の最低保障額を記す)。

〔PHOTO〕gettyimages
*両脚を失った場合
元軍人   年間約1029万円(恩給)
一般市民  年間約97万円(障害年金)

*片足の足首から下を失った場合
元軍人   年間約367万円(恩給)
一般市民  年間約78万円(障害年金)

*片手の親指を失った場合
元軍人   年間約242万円(恩給)
一般市民  支給なし

*片目の視力を0.09に低下させた場合
元軍人   年間約96万円(傷病年金)※注1
一般市民  支給なし

※注1 傷病年金は、恩給法に基づく年金である。
 

このように、元軍人と一般市民とでは受給額に大きな開きがある。また、一般市民が障害年金を受けられない程度の障害であっても、元軍人であれば補償を受けられる。その格差は重大である。

そもそも障害年金は、戦争被害への補償を目的とする制度ではない。日本政府は、戦争によって死傷した一般市民へ補償しなくてよいことになっている。それは過去の戦争にも未来の戦争にも当てはまる。