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キリンレモンが「声優・水瀬いのりをCM起用」で再ヒットした必然

BiSHも、フレデリックも…絶妙起用
砂川 洋介 プロフィール

新生キリンレモンのマーケティングを担当した、キリンビバレッジのマーケティング本部マーケティング部商品担当主任の二宮倫子さんが言う。

「キリンレモンはここ10年くらい、小学生から高校生くらいまでの若年層をターゲットにしていました。当時はそれで正しい戦略だったと思いますが、その結果“子供っぽい”“ジャンキー”といったイメージがお客様のあいだで定着しかけており、本来は品質へのこだわりが強い商品性との乖離が起きてしまいました。実際に売上もゆるやかに右肩下がりになっていました 。

そのため、リニューアルではまず作り手のこだわりがわかるようなクラフト感のあるパッケージに変えました。一方で、90周年だからといってノスタルジーや懐かしさばかりを前面に出すのであれば、古いものに見えるリスクがあり、避けたい。そこでキリンレモンをよく知っている中高年にも、まだあまり知らない若者にもしっかり届くことを目指して、『懐かしいけど新しい』というイメージを広告戦略でいかに出すかということを考え始めました」

 

アイドル『BiSH』が歌って、拡がった

そこで真っ先に目を付けたのが、あのCMソングだったという。

「キリンレモンのCMソングといえば、『キリンレモン、キリンレモン♪』ですよね。商品名をここまで連呼するコマーシャルソングは珍しいし、いまやほぼすべての世代の方が一度は耳にしたことがあるわけですから、これはものすごい財産だと再認識しました。

とはいえ、この歌をそのまま使ったのでは工夫がない。そこで、現代版にアレンジしたCMソングを制作するというアイデアを思いついたんです。さらに、CMソングを歌っていただくアーティストの方はすでにメジャーになっている方ではなく、もうすぐメジャーへと駆け上がろうとしている『今』勢いのある方々から選びたいと思いました。そうすることで、キリンレモンのノスタルジーな部分と、これからという新感覚が交わって、『懐かしいのに新しい』という新生キリンレモンのイメージを広げることができると考えたからです」(二宮氏)

こうして選ばれた若手アーティストが、前述したパンクロック・アイドルの「BiSH」だった。

キリンレモンのCMソングを歌うBiSH

4月10日のリニューアル発売以降、キリンレモンのホームページでメインムービーを公開すると、瞬く間にSNSで広がって再生数が急上昇。現在までに約3500万再生を記録しているほどの大ヒットCMになっている。

「BiSHのコアファンは20代から30代の男女で、感度が高くネット上での発信力も高い。BiSHはもともと“楽器をもたないパンクバンド”という触れ込みでミュージックビデオも少しダークな世界観のものが多かったり、ライブでも過激な演出をしていました。でも今回は敢えてキリンレモンのイメージにあわせて水色のワンピースという爽やかな衣装で登場してもらい、『透明だった♪』と〝ピュアだったあのころ″を思い出すように歌ってもらった。このギャップもまた良かったのかもしれません」

そう語る二宮さんだが、じつはBiSH バージョン以外にも、「キリンレモン・トリビュート」企画と題して、 ほかのアーティストに歌ってもらうバージョンのCMも制作 。これがまた大ヒットしているのだ。