公約の撤回で、韓国・文在寅政権が一気に不安定になっていた

さて、どうやって切り抜けるのか
真壁 昭夫 プロフィール

文政権を追い込む北朝鮮問題

公約の撤回に加え、側近がSNSを使って世論操作をしていた疑惑も浮上している。それだけではない。文大統領が前政権との違いを強調するために重視してきた北朝鮮との融和策の限界も明らかになりつつある。文大統領は対話によって北朝鮮の核問題を解決し、朝鮮半島情勢の安定化を実現しようとした。

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しかし、北朝鮮に核を放棄する意思があるとは考えられない。金正恩委員長にとって、核攻撃力の保有は、自らの独裁政権の存続を支える“お守り”と言える。北朝鮮は、韓国の対話姿勢にすり寄り、それを踏み台にして中国の協力を得つつ、米国との首脳会談に漕ぎ着けた。その目的は、中国などからの経済支援や米国からの制裁緩和などを引出して、社会を安定させることだ。

 

核兵器を放棄したリビアは、自国の内戦に米国が介入する余地を作ってしまった。その結果、リビアのカダフィー独裁政権は崩壊した。この教訓をもとに、北朝鮮が核の放棄を真剣に考えることは想定しづらい。実際に、そう考える安全保障の専門家は多い。米国や韓国との対話は北朝鮮にとって、体制維持のための時間を稼ぐことといえる。すでに、北朝鮮はICBM(大陸間弾道ミサイル)の開発を継続していると報じられている。

現実的に考えると、文大統領が北朝鮮との対話姿勢を強調して、韓国国内の不満に応えていくことは難しい。北朝鮮が非核化への取り組みに着手しないと、融和姿勢を強調してきた文政権への不信感は増すだろう。公約の撤回という国内の問題に、北朝鮮問題という外部要因が加わり、文大統領の政権運営は一段と厳しい状況に直面している。