Photo by Getty Images

米国の圧力をかわすため、安倍官邸が準備した「巨額ファンド」の実態

これが国際政治のリアルか……

圧力をかわすための「秘策」とは

茂木敏充経済再生相は8月9日午後(米国東部時間)、ワシントンでロバート・ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表と会談した。6月7日午後(同)に行われた安倍晋三首相とドナルド・トランプ大統領のトップ会談で新たに設置することを合意した日米貿易協議(FFR)である。

[写真]貿易赤字問題では強硬姿勢を崩さないライトハウザーUSTR代表(Photo by GettyImaes)貿易赤字問題では強硬姿勢を崩さないライトハイザーUSTR代表(Photo by GettyImaes)

トランプ大統領が強く主張する日米貿易不均衡の解消、すなわち約7兆7000億円(2017年度)に達する対日貿易赤字解消問題で、米側は日本側に対し日本主導のTPP(アジア太平洋パートナーシップ協定)11諸国の批准進展を横目に2国間貿易の自由貿易協定(FTA)の交渉入りを求めるだけでなく、対米輸出自動車・同関連部品の追加関税25%発動の圧力をかけてきている。

トヨタ自動車は3日の4~6月期の決算発表記者会見で、この追加関税措置が実施されれば同社だけで年間約4600億円の負担増になるとの試算を明らかにした。現下の日本の至上テーマは、まさに自動車関税25%発動の回避である。

 

そうした中で、「日本経済新聞」は2日深夜の電子版で「米インフラ開発に新基金、政府検討―対米協力の材料」という興味深い記事を配信した(ちなみに翌3日の同紙朝刊の見出しは「米インフラ整備資金支援―政府、新基金を検討―通商圧力をかわす狙いも」と踏み込んだものとなった)。

要は、安倍政権は海外でのインフラ整備などに投資する新しい基金=政府系ファンドを設立し、トランプ政権が意欲を示すインフラ開発や、米国が関わる第三国での案件などに長期投資するというのだ。

兆候はあった。7月30日、今やトランプ大統領の最側近であるマイク・ポンペオ国務長官がワシントンで開催された全米商工会議所主催の経済フォーラムで、スリランカやパキスタンへの海上進出が著しい中国を念頭にインド太平洋地域のインフラ整備などを支援するファンドを1億3000万ドル(約143億円)拠出して設立すると発表した。

この米ファンド構想は、日経報道の「米国が関わる第三国での案件」を対象としたものである。しかし、あらためて言うまでもなく、肝は「トランプ政権が意欲を示す(米国内の)インフラ開発」なのだ。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら