肥満上司はいませんか?(photo by iStock)

ゆとり世代の部下を無理やり太らせる「道連れ上司」に気をつけろ

「食わせるハラスメント」がひどすぎる
上司が若手社員に「いっぱい食べろ!」というハラスメントが問題になっている。良かれと思って相手に無理やり食べさせるのは、わが子をわざと肥満にしてしまう親だけではない。部下を「道連れ」にして太らせる上司の実話をこれから紹介しよう――あなたの周りにもこんな人、いませんか?

動く巨大肉まん

ルポ記事「わが子の健康を奪う親たち」(全3回)を現代ビジネスに発表したあと、記事を読んだ方から様々な反響をいただいたが、その中で特に気になるものがひとつあった。

私は前回の記事で、自分が肥満体であることへのコンプレックスを和らげるために子供を肥満体に育てる「道連れ型」の「毒親」が多いことを指摘した。すると、大学の後輩から、「かつて上司から似たような被害を受けた!」と連絡があり、実際に話を聞かせてもらったところ、たしかに問題の構造が似通っていたのだ。

「道連れ」の心理に迫るうえで興味深いエピソードなので、今回はこの事例をくわしく紹介したいと思う。

◆◆◆◆◆◆

林君は6年前に大学を卒業し、大手メーカーのA社に就職した。同級生にはあまり人気がなかったA社をあえて選んだのには、彼なりの考えがあった。

「人気企業には優秀な奴ばかりが集まります。そんな中で競争させられると疲れるじゃないですか。A社ならライバル関係が楽になるから、程々に頑張っていれば出世できると思ったんです」(林君)

1989年生まれの、いわゆる「ゆとり世代」の彼は、就職先を選ぶうえでも「心のゆとり」を重視したわけだ。

実際、当初は彼の思惑通りに事が運んだ。新入社員の中で目立つ存在だった彼は優遇され、研修後は希望の部署に配属してもらえて仕事を楽しめていた。

だが、初年度の1月に、想定外の「敵」がその部署にやってきた。ちょうど40歳年上の馬淵部長補佐――1949年生まれの、いわゆる「団塊世代」の人だった。

「馬淵さんは子会社の副社長を退任し、本社に契約社員として戻ってきた人でした。昔はエース級の営業マンだったらしく、取引先の幹部に親しい相手も多くて、その人脈を期待されて呼ばれたんです。

ただ僕は、最初に馬淵さんに会った時、笑いをこらえるのに正直苦労しました。動く巨大肉まんみたいなかなりの肥満体で、ふうふう息を吐きながら歩いている姿だけでなんだか面白くて」

 

全部食べきるまで帰れません

しかし馬淵氏は、その肥満体形のおかげで取引先のお偉方に「イジられキャラ」として気に入られており、期待通り、彼は部署にやってきた直後に昔の人脈を生かして大きな商談をまとめ、たちまち部長から頼られる存在になった。

「2月から部長命令で、馬淵さんと山下係長と僕の男3人で週1回、居酒屋で夕食をとるようになりました。係長は当時30歳で、部の総合職の社員では僕の次に若く、彼と僕だけが独身だったんです。

『大先輩から営業のコツを直に学べ!』というのが部長の指示。食事は馬淵さんのおごりだったし仕事の話もためになったんで、僕も最初は大歓迎でした。自分は『団塊世代』だから偉い、僕は『ゆとり世代』だから甘い、というレッテルを貼ってるところは時々イラッとしましたけど、嫌だったのはそこだけでした……最初の頃は」