18歳ぼんくら処女、将来の事を1ミリも計画しないまま上京す。

駄青春日記~マヌケな地獄の黙示録〜①
王谷 晶 プロフィール

死ぬ前に、なんとかして異性とセックスをせねば

12軒、全て連続で不採用となった。中には顔を見た途端「さっき決まった」と言われ帰らされた店もあった。

困り果てた。仕事が見つからないと生活が詰む。相談できるような知古も東京にはおらず、同室の子はフルメタル仕送りで暮らしていた。残り少ない煙草を手に、私は寮の階段を上がった。

屋上に出ると、中庭を挟んだ向かいの男子寮が見えた。そのまた向こうにはどこかの会社の独身寮が建っている。遠くには新宿の高層ビル群が瞬き、空には飛行機のライトがゆっくり横切っていた。一足先に夏が来たんじゃないかと思うくらい、妙に蒸し暑い夜だった。

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しまむらのTシャツとニッセンのジャージを着た私は、この生活が思い描いていた”アーバン”でないことに、自分が思い描いていた”シティガール”でないことに、やっと、うすうす、なんとなく気づき始めていた。

煙草を吸いながら、ぼんやりと学校のことを考えた。デザインも絵を描くことも、別に興味もねえし好きでもねえなとしみじみ思った。そもそも、学校に行くのが楽しくない。家から出てどこかに通うという行為そのものが嫌いなんだ。

自分が本当にしたいことは、一人きりで本を読んで映画を観てゲーセンに行って小説を書くことだけだ。心から勉強したくなかったし、心から働きたくなかった。それが自分の将来の夢なのだと思った。でもそんな”進路”ってあるのか? どうすればそんな生活ができる? さっぱり分からなかった。

 

「死ぬしかねえかな」と、ふと思った。

そうだ。好きなだけ好き勝手に生きて、手詰まりになったら死ぬというのはどうだ。そうすれば嫌なことは一切せずに生涯を終えられるぞ。

その時、闇の向こう、どっかの会社の独身寮の外階段に何かうごめくものが見えた。目を凝らすと、それは二人の人間だった。外階段の踊り場で、体格のいいTシャツ姿の男が二人、せわしなく半ズボンをおろし抱き合い始めた。

セックスだ。

東京の空の下、二人の見知らぬ男が夜風に吹かれて情熱的なセックスをしていた。夜目にも白い尻が高速で上下運動するのを見ながら、なんだか幻覚みたいだなと思い、ちょっと手の甲をつねった。

「セックスか……」

その時私は、もうひとつビッグな課題が自分の人生にあることを思い出してしまった。死ぬ前に、なんとかして異性とセックスをせねばいかんのだ。

〈次回につづく〉

友達?仲間?憧れ?…恋?この関係に名前はつけられない、でも、あなたじゃないとだめ。そんな女同士の物語×23!