連載「ぼくたちはなぜぼくたちだけなのだろう フローレス篇2:涼しい洞窟」より

『我々はなぜ我々だけなのか』2018年度講談社科学出版賞を受賞!

担当者、喜びの「うらばなし」特別掲載

年に一度、前年度に刊行された一般向けの科学本のなかで、最もすぐれた啓蒙書に贈られる「講談社科学出版賞」。

単行本から新書まで、毎年100冊を超える候補作から厳しい選考を経て、たった1作品に絞り込まれます(こちらに過去33回の受賞作一覧を掲載していますが、これまで複数作品の受賞は一度もありません)。

そしてこのほど、2018年度(第34回)の受賞作が、ブルーバックス『我々はなぜ我々だけなのか』に決定しました!

著者の川端裕人さんは、本作で「科学ジャーナリスト賞2018」も受賞されており、みごと2冠達成となりました。おめでとうございます!

(2018年5月に収録した科学ジャーナリスト賞受賞記念の川端さんインタビューはこちら

これを記念して、ブルーバックスのメールマガジンでは「担当者のうらばなし」特別版を配信。『我々はなぜ我々だけなのか』の重版を機に、サイトでも掲載いたします!

担当者のうらばなし──我々はなぜ我々なのか

いつも「うらばなし」には表沙汰にしにくいことしか書かないのですが(うらばなしですから!)、そして本を一冊つくれば何かしらはあるものなのですが、この本については著者・川端裕人と監修者・海部陽介のタッグがどこまでも熱く、潔く、美しく、つまりは漢(おとこ)でありすぎて、やましいネタが見つけられません。

なので不本意ながら(?)やや真面目な話をしますと、いろいろな意味で「ボーダー」(境界)について考えさせられた本でした。

(1)川端さんが小説とノンフィクション、文系と理系、大人向けと子供向けといった垣根を越えて行き来する書き手であること。

(2)本書の母体がブルーバックス公式ウェブサイトの連載で(書籍化第1号!)、ネットから紙へ越境した作品であること。

(3)そして海部さんが最先端の研究を惜しみなく明かし、「監修」という一線を越えかねないほどご尽力くださったこと。

こうした「ボーダーレス」ぶりが、(1)科学書らしからぬ読み味、(2)書籍らしからぬ臨場感、(3)一般書らしからぬ科学性につながり、評価していただけたのだろうと思っています。

さらに今回、腹の底までズンと響いたのが、書名に掲げた問い、すなわち地球上に「人類」はたくさんいたのに、なぜ我々ホモ・サピエンスだけが生き残ったのか、という問いへの答えでした。

(以下、ネタバレですが)それはいうなれば、我々の祖先の「越境」に対する信じがたいほどの情熱でした。

どんな危険が待っていようとも、いまいる場所からなんとしてでも飛び出そうとしたこと、それだけが、知力・体力に優るほかの「人類」たちとの生存競争に勝った理由だったのです。

川端さんはいまも、まったくジャンルの違う作品を何本も構想中です。そして海部さんは、3万年前の人類の航海を再現して海を渡る(!)プロジェクトに邁進しています(クラウドファンディングやってます!)。

ひとつところに留まらない漢たちの身体には、ホモ・サピエンスの熱い血が流れています。もちろん、私にも、あなたにも。(Y)

 重版出来しました。こちらから詳細をどうぞ! 

『我々はなぜ我々だけなのか
アジアから消えた多様な「人類」たち

我々はなぜ我々だけなのか

川端裕人 著 海部陽介 監修

我々ホモ・サピエンスの出現以前、地球には実に多様な「人類」がいた。教科書に載っているジャワ原人や北京原人だけではない。身長わずか110cmのフローレス原人、台湾の海底で見つかった澎湖人など、とくにアジアの「人類模様」は、目もくらむほどだった。
しかし彼らはすべて滅び去り、いま人類は「我々」しかいない。
なぜ我々は我々だけなのか? 答えを追い続けた著者が人類進化学の第一人者に導かれて出会った衝撃の仮説!