女性の容姿への「残酷な心理実験」の結果が示す社会のひずみ

日本人の脳にせまる⑦
中野 信子 プロフィール

女に「自分よりも下であってほしい」と望む男たち

医学部の女子学生が、自分と同等以上の収入を男性に望むという結果が示された同じ研究で、男子学生の実に6割が、配偶者には自分より収入の低い相手を望み、4割が自分よりも職業的地位の低い相手を望んだ。

人類学者のフィッシャーは、女性が経済的自立を達成すると離婚率が高まる、と指摘している。この傾向は資本主義社会の先進国であっても部族的社会でも変わらず、貧しい国であろうが豊かな国であろうが同じだったと述べている。

一方で、地位が高く高収入を得ている男性は、地位が低く収入も低い男性よりも結婚する確率が高い。既婚者の場合は、男性の収入が過去の収入や同僚の収入よりも減ってしまうと、別居や離婚の可能性が高くなる。

人類学者のフレイザーは、古い歴史を持つ48の文化で男女別に別居や離婚について調査した。関係が壊れた原因の最上位に挙げられたのは「性格の不一致」であったが、女性のみが挙げたもうひとつの最大の原因は、男性が経済的、家庭的責任を果たさなかったこと。男性のみが挙げた原因の最大のものは妻の不妊である(医学的には男性側に原因の約4割があるのだが)。

ドイツの哲学者カントですら、女性が学問的に成功したところで、彼女は冷ややかな尊敬こそ手にすれ、異性に対して絶大な力をふるう魅力は失う、などと述べている。18世紀の話ではあるが、思索を生業とする人にしてはおそろしくプリミティブな感想であると、現代の人であれば感じられてしまうのではないだろうか。

 

もうひとつの「衝撃の研究結果」

男性の脳は、女性が肌を露出すればするほど、相手を人間とは思わなくなるという衝撃的な研究結果が明らかになっている。

プリンストン大学の有名な研究では、男性にビキニ姿の女性の写真を見せて脳をスキャンすると、男性の脳では、共感性の領域と呼ばれる部位の活動が低くなり、いわば人間ではなくモノを見ているのと同じ状態になったことがわかった。

共感性の領域の活動が起こっていないということは、対象となる人物の気持ちがわからないか、または気遣いをするという発想さえ起こっていないということを示唆すると考えてよい。

セクハラをする男性たちの言い分を思い返してみれば、なるほどとうなずけるだろう。相手がどんなに嫌がっていても、触られて喜んでいた、相手は受け入れた、合意のうえでの行為だ、などなど、対象を気遣い、尊重しようという意思は微塵も見られない発言がいつもいつもくり返される。