男性のユートピア

東京医科大が、入試で点数を不正操作し、男子受験生を優遇していたと報道されている。日本の医学界が男性優位だと議論を巻き起こしているが、アメリカのテック業界や医学界でも似たような実態が告発されている。

今年2月に出版された『Brotopia(ブロトピア)』(邦訳は未刊行)(1)は、米国シリコンバレーの圧倒的な男性優位社会の実態を伝え、ベストセラーになっている。

著者はブルームバーグのニュース番組に出演しながらシリコンバレーを取材してきたエミリー・チャン。本のタイトルは、Brothers(仲間の男たち)+Utopia(ユートピア)で、男性のユートピアという意味だ。

シリコンバレーというと先進的なイメージだが、実はとても古い体質があるという。本書が伝えるその実態を覗いてみよう。

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無料のグーグル社員食堂は長時間労働させるため!?

グーグルには、無料で食べ放題の社員食堂があることが有名だ。ほかにも、ジムや屋外スポーツ施設、マッサージのサービス、無料ビールなどがある。医師や美容師を手配することもでき、素晴らしい福利厚生を社員に提供している。

これではずっと会社にいたくなる。

そう、実は、一見気前のいいこれらの特典は、社員を会社にいさせて長時間労働させるためにある、と著者のチャンは指摘する。家には、寝に帰るだけでいい。

著者によると、コンピューターエンジニアは週60~80時間働くというステレオタイプがあるが、それは本当だ。

1984年に初代Macをリリースするために寝食を忘れて働き続けた伝説のチームは、「週90時間が大好き!(90Hrs/Wk and Loving It)」と背中にプリントされたおそろいのパーカーを記念に作ったという。1週間休みなく働いても、毎日13時間働かないと週90時間に達しない。